051-傾斜。

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私とユウヤ君は本当に軽い気持ちで出会った。
このブログにも書いたけど、思うように会えないアツシさんに、
もう一人くらい探してみようかなぁ、というくらいのノリで。
ユウヤ君も同じだったろう。
ある日知らない女からSNSでメールが届く。
仕事は休みだし、ラッキーくらいのノリで。
ひらたく言えば、お互いの目的はセックスだけ。

以前にも書いたけど、初めて会った日に、
「お前ヘンなこと考えてんじゃないだろうな」
夫にそう言われた話をして、
「大袈裟じゃなくて、その場に突っ伏して泣きたくなっちゃってさ」
と、笑いながら話したとき。
隣に座るユウヤ君は、私をじっと見て、
「…そっか」
と、たったひとこと言ってくれた。
今でも思い出すけど、その一言を聞いたとき、
この人は、私の気持ちを本当にわかってくれてる、
痛烈にそう感じた。
短い言葉だったけど、それ以上なにも言わなかったけど、
でも、そのときから私は彼に惹かれてたんだろうな。

何度目かに初めて飲みに行ったとき、改めてその話をした。
「私ね、今まで何人かにあの話したけど、
ユウヤが初めてちゃんとわかってくれた、って思ったよ」
「どうして?…だって辛い話じゃん」
彼はむしろ不思議そうに返す。
アツシさんには言えなかったけど、出張ホストに会った話もした。
「…お前、そんなに追い詰められてたんだ」
彼の言葉のひとつひとつ。
短いし、余計な飾りもない言葉。
でも、あったかい。
あれから、季節は移り変わって、私達は二人の時間を積み上げてきた。

今まで何回か飲みにも行ったけど、
たいていホテルの前に軽く飲むだけだった。
でもね、この前、居酒屋でただただ飲んで話をした。
向かい合って、長い間たくさんたくさん話をした。

どうしてこの男はこんなに魅力的なんだろう。
少し酔って饒舌になる口調も。
髪をかきあげたり、タバコをくわえたりする仕草も。
「ミオ、コレ旨いよ」
そう言いながら、私の口元につまみを差し出してくれる。
そんなことされたことない。
恥ずかしいけど口をあける。
そんな私を、ホントに屈託ない笑顔でみつめてくれる。
ユウヤ君をみつめているだけで、はてしもなく幸せになってくる。

データもいっぱい増えてゆく。
友達とかたくさんいるんだ。
尊敬してて可愛がってくれる上司もいるんだ。
今でこそメタボ気味だけど、ずっとスポーツしてたんだね。

前にも少し話してくれたけど、昇格した仕事のストレスから、
心療内科にかかった話も詳しく聞いた。
3年も病院通いしてたんだ。
「だから、お前とおんなじ」
「デパスやハルシオンずっと飲んでた」
結構かかったね。
私も状況違うけど、おんなじ思いしたからわかるよ。

10代の頃、フラれてご飯が食べられなくなった話も、改めて聞いた。
以前、私が
「誰かを好きになって泣いたことある?」
と聞いたときにきかせてくれた話。
3年も立ち直れなくて、ヤケクソで遊んでるときに、
彼女がユウヤ君のもとに戻ってきたらしい。
「やっぱりユウヤがいい、ってさ」
そりゃあそうだよ、私は思わず口にする。
「でもさ、結局またフラれた」
…多感な時期に痛すぎる思いしたんだね。
「で、また遊びまくった」

私は彼に出会ってまだ日も浅い。
でも、こうして昔話してくれる彼といて、
今の彼を形作ってきたモノをひとつひとつ知るにつけ、
わかるよ、そういうことだったんだね、と納得する。
そして、彼が味わってきた思いのひとつひとつが、愛おしくてたまらなくなる。

私も話す。
結婚してから、ユウヤ君に会うまでの長い時間を。
なんとなくはしてた、好きになれない母親の話もする。
そしたらユウヤ君は、急にマジな顔になった。
「でもさ、お前のおふくろさんになんかあっても、
俺は葬式とか行ける立場じゃねえしな」
びっくりした。
「来てくれる気とかあんの?」
ユウヤ君は当たり前だ、みたいな真顔で返す。
「だって、お前を産んでくれた人じゃん」
言われた瞬間、涙がつたった。

そうなんだ。
私は彼のこういうところが好きでたまらないんだ。
余計な理由なんていらない。
小賢しい理屈なんかわかんない。
だけど、ただ単純でまっすぐ。
親は大事にするもの。
子供は可愛がるもの。
男は家族を養うもの。

私はシンプルな男が好きなんだな。
多少格好つけるところはあってほしいけど、
必要以上に背伸びしない男。
不器用なくらいまっすぐな男。

ユウヤ君はいろいろモノを知らない。
だけど彼は、私なんかが知らない大事なモノを知ってる。
ホントに大切なモノがわかってる。
ユウヤ君みたいな人と一緒になってたら、
私の親に対する気持ちも、違ってたのかもしれないな。
そうも思った。

セックスレスの話もした。
「カミさんは『家族』だからしたくないんだって」
なんかわからないでもない。
女の人はそういう理由が多いのかもしれない。
「…でも、触れたいじゃん」
ユウヤ君がぼそっとつぶやく。
おんなじだ。
私もおんなじなんだよ。
わかりすぎるほど、私にはわかるよ。
そうなんだよ。
好きだから触れたいんだよ。
相手の身体を、全部この手で感じたいんだよ。
でも、かなわない。
最初に感じた気持ちは正しかった。
私達はやっぱり同類なんだ。

何杯もビールをおかわりしながら、ずっとずっと話し続けた。
会ってセックスしなかったのは、初めてだった。

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050-結婚。⑥

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大人になってからは、だいぶ客観的に見られるようになったけど、
私は喧嘩の絶えない家庭に育った。

父方の祖父母も同居していて、7人家族。
で、この二組の夫婦が笑っちゃううくらいいろんなパターンで喧嘩してた。
夫婦、親子、嫁と舅姑。
この前ちょっと計算してみたら、組み合わせは6通り(笑)
もちろん、一対一がどんどん悪化もしてゆく。
干支で言うと、猪(父)と虎(母)がガップリと四つに組んでいるところに、
犬(祖母)がキャンキャン吠えて、蛇(祖父)がまとわりついてくるみたいな。
口喧嘩はもちろん、暴力沙汰に発展することもままあって。
勇敢な妹とかは、身体を張って止めに入ったりしてた。
今でも覚えてるけど、そんな妹を父親が文鎮で殴ろうとしたことがあって。
私も弟も、半泣きで体当たりしていったこともあった。
でもね、そんな話をしても母親は全然覚えちゃないらしい。

私達兄弟はよくグレなかったと思う、本当に。
鈍かったんだろうか?
子供だから、どこのウチもこんなもんだろうと思ってたんだろうか?
でも、自分のことだけでいっぱいいっぱいな父母の代わりに、
祖父母が孫をひたすら可愛がってくれたから、だろう。
ことに長女の私は、祖父母からたくさんの愛情を注いでもらった。
今の仕事をしてるのも、そんな背景があるかもしれない。

それにしても、子供の目から見ても、なんで一緒になったんだろう?
と思うくらい、仲睦まじさが微塵もない夫婦達だった。
今だから思うけど、こういう子供時代過ごすと、
潜在意識で、ものすごく根強く残るよね。
こういうふうにだけはなりたくない。
自分はもっと幸せな結婚をしよう、って。

やがて、認知を患い長く寝たきりになった祖父に悪態をつきながら、
結局、祖父が亡くなった同じ年に祖母も亡くなり。
そして、二人の一周忌を済ませた後、母は定年退職した父を捨てて、
50年以上住んだ土地を離れることを決心した。
ちょうど、私が一歳になった娘を連れて、実家に帰っていた頃だ。
夫と別れるかどうか、思いあぐねながら、借金返済に昼夜働いていた頃。
母はもう、この家での役割は果たしたと考えたのだろう、
しきりに別れたい、と言い始めていた。
今から考えると、タイミングってあるんだなぁ、とつくづく思うけど。
そんな時、私に条件のいい仕事の話が来て、
住まいも母の兄が提供してくれることになって、
話はどんどん進んでいった。
そして、事情を良く知る親戚の家に少しずつ荷物を預け、
(ちなみに、父方の親戚も協力してくれた)
父の外出を待ってそれは決行された。

便箋じゃあないんだよね、
広告の裏かなにかに一言、
「長い間、お世話になりました」とメモを残し。
母は金使いの荒い、酒癖の悪い、変人の父を捨てた。
残された父も、妻の行った先が義兄のところでは、連絡しにくかったのだろう。
もともとは、気の小さい人間だし。
結局、電話がかかってくることもなかった。
何度か手紙は来てたみたいだけど。
以来父が亡くなるまで、二人は籍を入れたまま、10年あまり別れて暮らした。
で、父の見栄で増改築を繰り返した、かつて7人家族が暮らした家は、
モノを買うのが大好きで、かつ捨てられなくて、片付け能力皆無の父によって、
まぁ、当然だけどゴミ屋敷と化した。

最後の一年くらいかな。
身体も弱り果てた父が病院に入り、もうこの家に帰ってくることはない、
そう判断して、私も兄弟も本当に久しぶりに実家を訪れたときは、
ただただ呆然とした。
テレビで時々見るゴミ屋敷は、こういうモノであったかと。
なんせ、ゴミが地層になってて、土足でしか上がれなかったんだから(笑)
我ながら、本当にすごい経験をしてしまった。

母も最後の数ヶ月は父の面倒をみた。
二人が何を話したか、何を感じたかは知らない。
私も、生きてる父に一度だけ会った。
昔、東映だか大映だかの俳優に応募したという、
見た目だけはダンディだった面影はもちろんなく、
白髪頭の痩せこけた爺さんが横たわってた。

私は、というか私達兄弟は、父に可愛がってもらった記憶がなんにもない。
ただただ好き勝手に、自分のしたいことだけしてきた人だったし。
だから、そんな姿を見ても、亡くなったときも、涙も出なかった。
ごく普通の親なら、私も実家に居続けたかもしれない。
でも孫が可愛くて仕方ないくせに、酔って怒鳴ったり暴れたりする父に、
幼い娘が顔を見ただけで泣くようになった。
私も母と一緒にここを出なくては。
そして、新しい生活が落ち着いた頃に、夫もともに暮らすようになって、
今の家族形態になったというわけ。

両親は絵に描いたような不仲だったけど、
とても良い反面教師になってくれた。
おかげ様で兄弟はみな、夫婦仲がとてもいい。
妹も弟も、ともに子供はいないけど、
連れ合いに先立たれたら大丈夫?と心配になるくらい仲睦まじい。
だけど、弟は同性だからなのだろうか?
『万が一にも、親父みたいな父親になったら嫌だから』
そう言って子供を作らなかった。
もちろん、性格は似ても似つかない優しい奴なんだけど、
トラウマなんだろうな。

私も漠然と、でもしっかりと結婚相手には望んでいた。
穏やか人。
声を荒げたり、暴力振るったりしない人。
お酒は私も好きだから一緒に飲みたいけど、お酒に飲まれない人。
そして夫と一緒になった。
遠赤外線みたいに、いつも私を暖めてくれる人。
本当に芯から優しい人。

だけどね、いつかはわからないけど、
今すぐじゃないのは確かなんだけど、
私も夫といずれ離れて暮らすような気がしている。
両親とは全く違うシチュエーションだけど。
母親とは全く違う気持ちからだけど。
そう遠くない未来、お互いが納得して別々に暮らす道を歩むんじゃないかな。
離婚とか、そういう形ではなく。
自分の母親がたどった道を思うと、最近そんなことを考える。

『ケッコンってナニ?』
答えなんかみつからないけど、私なりに考え続ける。

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049-結婚。⑤

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このところ、夫とユウヤ君を秤に載せて、
ああでもない、こうでもないと思いあぐねている私。
でも、具体的にどうこう、と言うわけではなく。
最初の頃は、
「歳をとったら一緒に暮らそ」
と二人で盛り上がってたけど、
付き合いが深まるにつれて、逆に軽々しくは言えなくなってくる。
会うたびに彼のおかれてる状況が見えてきて。
思ってた以上に家庭が冷めてるのがわかってきて。
彼がこれからどうなってゆくのか、ただ案じられ。

正直、私達の心の距離は、どんどん狭まってきていると思う。
なんだかずっと昔から一緒にいたみたいな、そんな気さえしてきてる。
占いってやっぱり当たるんだ、って感心するくらいすべての相性がいい。
お互いの仕事のシフトはわかっているから、忙しいときは数日音信不通。
でも、休みが重なっている日は、相変わらず他愛ないメールをやり取りして。
私が一番嬉しいのは、
「今、何してる?」
ってメール。
今、この時間にユウヤ君は私のことを考えてくれてるんだ、
それだけで嬉しくなる。
一緒にいられない時間のほうが、圧倒的に長いけど、
でも、不安もないし、迷いもない。
おごったいい方かもしれないけど、
お互いがお互いを必要としてて。
お互いがお互いを大切に思ってる。

だからこそ、こうして思いあぐねてしまう。
いつでも俺様で、肩で風きって歩いてる、一匹狼みたいなユウヤ君。
強がり、いい格好しぃ、素直じゃない、気分屋、ぶっきらぼう。
でも、だんだんにその殻が割れてきて、素顔が見えてくる。
本当は誰よりも甘えたい。
そして誰よりも淋しがり。

前に夫は末っ子長男、と書いたけど。
私もユウヤ君も3人兄弟の一番上。
同じ立場だから良くわかるんだけど、長子ってヘンな責任感ある。
特にユウヤ君を見てると、すごくそれを感じる。
それぞれに結婚してるけど、いろいろとあるらしい兄弟のことを、
いつも心配してて、なにかにつけと世話をやいてる。
『自分だって、大変なのに』
私は心の中で思う。
父親やるんだって楽じゃないのに、彼は兄ちゃんも目一杯やってる。
『そんなに背負いこまないでね』
私はユウヤ君を見つめる。
私だって、長年お姉ちゃんやってきたからわかるよ。
お兄ちゃんだって、肩の力抜くトコないと疲れちゃうよ。
私はアナタより、5歳もお姉ちゃんなんだからね。
いろんなものを取っ払って、甘えたって、弱音吐いたっていいんだよ。
そんな気持ちでいっぱいになる。
いつもそばにいて、彼を癒してあげたい気持ちでいっぱいになる。

だけど、一緒にいられる時間はほんの数時間。
駅前でタクシー降りて、私達はそこでサヨナラ。
「じゃ」
と、そっけなく歩いてゆく彼。
私は駅に入る階段の踊り場で、後ろ姿をずっとみていた。
人混みの中に紛れてゆく彼は、寂しげで頼りなげで。
なんだか切なかった。
なんだかやたらに愛おしかった。

「一緒に暮らす」
そう考えるだけで、幸せな気持ちになる。
けど、それがどれほど大変なことかわかってる。
お互い20年の結婚生活を送ってきて、十分すぎるくらい勉強してきてる。
だから、
『ユウヤ君と暮らす』
は、平凡な毎日を過ごす私の、ドラマチックな妄想。
多分、今のところは。

当然だけど、私達は朝まで一緒にいたことは一度もない。
12時を過ぎると宿泊料金になってしまうラブホを、
シンデレラみたいにそそくさと後にする。
「いつか、近場でいいから温泉とか行きたいね」
「いいよなぁ」
と、二人で甘い想像に浸るけど、いざとなったらちょっと困る。
たいして化粧するわけじゃないけど、すっぴんは見せたことないし、
寝起きのむくんだ顔や、寝癖で爆発した頭も見せたくないし。
それはあちらも同様だろう。
そして、毎日をともにするということは、
表明的なことだけでなく、内面的なものもさらけ出してゆくのだから。

この頃「ハレ」と「ケ」について良く考える。
昔の言葉だけど、簡単に言うとケは日常生活。
そして、ハレは非日常。
一昔前なら、正月やら祭やらの、普段とは違う特別な日。
少しニュアンスは違うかもしれないけど、
お互いに家庭を中心にした日常があって。
毎日なほとんどの時間を仕事に費やして。
そして、わずかな時間を作って二人で過ごしてる。
毎日、汗ダラダラでお年寄りをお風呂に入れてるのが日常なら、
好きなオトコと大きなバスタブで泡にまみれてじゃれあうのが非日常。
当たり前だけど、しんどかったり、つまらなかったりの毎日があるからこそ、
「ハレ」の日は特別なものになる。
「ハレ」の日が待っていてくれるからこそ、頑張れる。
今、私達が共有しているのは、ハレの日だけ。
そして、ケの日を重ねてゆくことこそ、何より難しい。

なあんてことを、考えてばかりいる、最近の私。
どうしたらユウヤ君は幸せになれるのかなぁ。

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048-結婚。④

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最近しみじみ感じること。
私に触れてくれる男は、ただ愛おしい。
そして私が触れることの出来る男は、ことさら愛おしい。
この歳になって、こんな当たり前のことに気づいて驚く。

私と夫の触れ合いは、いつもハグだけ。
もちろん、服を身につけたままの、
外国ならば軽い挨拶みたいな。
もちろん、その短い間に、夫の愛情は感じるけど。
でも、そのハグさえこの1,2年でやっと夫がしてくれるようになったスキンシップ。

五感の中でも、触覚って大事なんだね。
私は、ユウヤ君の身体を触るのが大好き。
耳から、顎、唇、首筋、肩、腕。
「くすぐってぇよ」
と言われながら、いつもさわってる。
私の指が、足が、身体全部が、彼に触れているだけで、
ただただ満ち足りた気持ちになる。
会えないときも、指先が、手の平が彼の感触を思い出す。

私は、ユウヤ君の寝顔を眺めてるのが、すごく好き。
疲れてはてて無防備な顔。
一日中遊んだ少年みたいに見えるときもあるし、
初老に差し掛かったみたいに見えるときもある。
起こさないようにベッドのはしに腰掛けて、
いつまでもいつまでも眺めている。

40代も半ばだもんね。
染めてはいるけれど、こめかみにも白いものは混じってるし、
脇の下にも、下のほうにもちらほらとある。
でも、それが全部愛おしい。
「この人はもう若くないんだ」
そう思うと、余計に愛おしさが増す。
私にも、彼にも、残された時間はあと少し。

夫婦なのに、私は夫の身体を良く知らない。
頬や肩、時々さわってみるけども、
そもそも、あんまり触られるのが好きでないらしい。
そして、寝顔も良く知らない。
夜、仕事に出ていく彼の部屋は、団欒の時間には「あかずの間」だし。
起こさないように、物音たてないように、気を使う。
寝顔を眺めるなんて、もう何年ないんだろう。
私が知っているのは、起きぬけの不機嫌そうな顔だけ。
お互いの寝顔さえよく知らない夫婦ってどうよ?
セックスレスでも、せめて夜一緒に寝てたかったな。
夜は隣で夫にくっついて眠りたかったな。
いまさらだけど、そう思う。
ホントにホントにいまさらだけど。

セックスは気持ちいい。
セックスの幸せがわかって、本当に良かった。
そう思ってる。
相手が気持ち良さそうにしてくれるのも嬉しいし、
私も純粋に快感を求めて、自分を解放出来る。
けど、してみて初めて自分が何を欲してたのかわかった。
私は好きな男に、ただただ触れたかったんだ。
なあんにも身につけない裸のまんま、ペッタリとくっつきたかったんだ。
ヘンな話だけど、挿入とかあってもなくてもかまわない。
イクとか、イカナイとかもそんなに大事な話じゃない。
ただ、なんにも考えずに、
いつもまとってるモノ、全部取っ払って、
好きでたまらないオトコにくっついていたかっただけ。

目には見えない程度に、私と夫の関係も変わりつつある。
珍しく、夫から誘いがあった。
結婚する前に、二人で行っていた割烹料理屋さんに、娘と3人で行こう。
言われたときは、ちょっと嬉しかった。
久しぶりの夫の提案だし。
だけど、ちょっと待て。
お店のご主人夫婦には、すごく良くしてもらって、結婚式にも来てもらった。
でも、何年も不義理しているのが気になって、
顔出そうよ、と私は再三言ってたよね。
でもそのたび、遠いとか、飲んで電車に乗るのは嫌だとか、言ってなかったっけ?
二年前のお祭りもそうだったけど、アナタは娘込みで出かけたいの?

そして、その日が近づいて、私は意地の悪い聞き方をする。
「土曜はどうする?」
ちょっとだけ間がある。
「別にお前が乗り気じゃないならいいよ」
「んじゃ、またにする」
「…そう」

いくら接する時間が短いとは言え、私の変化に気づかないほど、
夫も鈍くはないよね。
自分でいうのもナンだけど、最近の私は生き生きしてる。
多分、恋してるオーラが全身から出てる。
そして、携帯を手放さない。
そんな私を見ての、珍しいお出かけの誘い?
でもね、お酒をたしなむようになった娘を交えても悪くはない。
だけど、どうせなら二人で行きたかった。
もっと早くに。
時間なんて、その気になりさえすれば、いくらでも作れたはず。
昔、夫が住んでいたアパートに私が転がり込んでて、
初めて二人で暮らすようになった頃。
ちょっと敷居の高い料理屋さんだったけど、思い切って入ってみて。
20代の若い二人に、本当に美味しいつまみや、お酒を教えてくれたお店。
ご主人夫婦にも、本当に可愛がってもらった。
そんなお店だからこそ、夫婦円満ですよ、って顔見せたかった。
でも、今はそんな100%な顔は出来ない。

何年一緒に暮らしても、触れることのかなわない夫。
でも、彼自身は自分の人生に満足している。
私がいて、娘がいて、それが彼の幸せなんだろうな。
でも、私は?

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047-結婚。③

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私が最近、結婚って何?とやたらに考えるようになったのには、
いくつかのタイミングが重なってるから。
ひとつにはもちろん、夫とはまったく違うタイプの、ユウヤ君と出会って、
夫、という人間を今までと違う角度から見はじめたこと。
結婚して20年という、節目でもあるし。

もうひとつには「アラフィフ」にも書いたけど、娘が高校を卒業して、
子育ての山場がとりあえず終了した、というのもある。
どちらかと言えば、人見知りで引っ込み思案だった彼女も、
大学やらバイト先やらで、着実に自分の世界を築いていっている。
あと数年で、どんな形かはわからないけど、親のもとを離れてゆくのだろう。
一人っ子で友達みたいな関係だから、淋しくなるとは思うけど、
子離れ、親離れは自然に出来そうな気がしている。
母親もいつかはいなくなる。
今までとはまた違った形で、夫と向きあってゆく人生を考えてみる。

もうひとつは、シュンの離婚話を聞いたこと。
二年前の夏、セックスレスで心身ともに追い詰められてた私は、
学生時代からの友人シュンにSOSをして。
一番大変な時期を支えてもらった。
その後も、なんでもフランクに話せる間柄なのは変わらなくて。
なかなか他人には言えない、アツシさんや、ユウヤ君の話も打ち明けてある。

前にも書いたけど、女にマメでとにかくモテる男。
すべてを知ってる訳じゃないけど、まぁ結婚してからも盛んに遊んでた。
だけど、家族はホントにホントに大事にしてた。
ことに二人のお子さんをこよなく大切にしていて。
一緒に飲んで話をしてても、家族に対する愛情をいつも感じた。
だけど、奥さんとは長くセックスレスだったのを最近知った。
そして、奥さんに好きな人が出来たらしい。
二人のお子さんを連れて、家を出るつもりらしい。

なんだかなぁ。
なかなか会えなくて、とりあえず電話で話したんだけど。
まだ、揉めているみたい。
毎年のように、お正月には家族の写真で年賀状がくる、
幸せに満ちたりた家族だったのに。
今も、まさか?って気持ちが拭えない。
確か、シュンのところも結婚して18年くらいだったと思う。
奥さんは、私と同い年だ。

私とシュンとの付き合いは35年以上になる。
見た目と裏腹に、ナイーブで傷つきやすい繊細なオトコ。
2年前に私が救ってもらったように、なんとかしたい気持ちはあるけど。
ただ女が一度心を決めたら、それは容易には覆せない。
私も同じ女だから、良くわかる。

結婚って何?
私自身も、ちゃんと向き合って考え直す時期にきているのかも。
子供が小さいときは、二人の目は同じ方向を向いている。
かけがえのない大事な存在を、二人で慈しみながら育ててゆく。
忙しいし、気も抜けないけど、思えばシアワセな時間だったんだな。
幼稚園や学校の行事を通しても、家族なのを実感するし。
多分、家族で過ごす時間が一番長い時代。

だけど、子供の成長にともなって、家族の形は変質してゆく。
やがて、子供がいなくなったとき。
何年かぶりに、夫婦の関係がクローズアップされて。
その時に、
「さぁ、子育ても終了したし、これからは二人の時間を充実させよう」
となれば、いうことないんだけどね…。

目下、夫とユウヤ君を天秤に載せて、日々考え中の私。
夫と別れて、ユウヤ君と一緒になりたいとか、
そんな短絡的なものではないんだけど。
だけど、この前ちょっと酔っ払ったときに、口に出して言ってみた。
もちろん、部屋で一人で。
「ユウヤと暮らしたい」

心の中で何回も考えたことはあったけど、
初めて口にしたら、思ってた以上にその気持ちには力があった。
娘も母親も寝てしまった深夜。
私は何回もつぶやいてみた。
「ユウヤと暮らしたい」

このブログに書き綴ってきたように、
ユウヤ君に出会って、私はセックスする幸せを知った。
言い方はヘンだけど、当初の目的は100%、
ううん、それ以上に叶えられて、思い残すことは何もないと思ってる。
それはホント。
ただね、付き合うにつれ、
あまり家庭がうまくいっていない彼の背景が見えてくると、
なんだかちょっと別な気持ちが芽生えてきてしまう。
きっとこういう関係は、
お互いの夫婦間は、そこそこうまくいってて、
だけどセックスレスが不満、ってくらいがベストだったんだろうな。
だけど、そんなふうにうまくコトは運ばない。

私ね、夫には悔いのないくらい尽くしてきたと思う。
長年のセックスレスにも、我ながら笑っちゃうくらい耐えてきた。
自営の仕事がうまくいかなかったときは、昼夜働いたときもあった。
今は落ち着いているものの、結婚してから夫が7,8回転職して、
経済的に大変な時期も乗り切ってきたと思う。
そして20年。
…なんか、もういいかな。

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046-結婚。②

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そういえばアツシさんも、ユウヤ君と似たような状況だったなぁ。
間取りの関係で、不仲と言い切る奥さんとダブルベッド。
いつも相手が寝たのを見計らって、潜り込むとこぼしていた。
しかも、将来は奥さんの親と同居する予定とか。
ますます居場所なんてなくなっちゃう。
「普通、仕事終わって自分ちが近づくとホッとするもんじゃない?」
「でも、僕は全然そんな気にならない」
「女房とは必要なこと以外、一切口きかないし」
正直、この人大丈夫なのかな?と本気で心配になった。
根が真面目で、仕事にも手が抜けないタイプ。
でも、癒しの場であるはずの家庭でも、ホッとできなかったら?
健康診断でうつ病チェックみたいなのあるらしく、
毎回、危険度が高いと出ていたらしい。
「でも、絶対にならない自信がある」
そう豪語していたけど、やっぱり、そうなってしまったんだよね。

なんだかなぁ。
いつの間にパートナーは口をきかない相手になってしまうんだろ?
彼らの言い分しかきいていないけど、
少なくとも家族を養うために、一生懸命働いてきたろうに。

もちろん、長く暮らす上でみえてくる価値観の違い、
いわゆる性格の不一致がそうなる一番の原因なんだろうけど。
多分、浮気も一因なのは間違いないよね。
浮気をしたから家庭の中に居づらくなったの?
うまくいかなくなったから浮気をしたの?
話を聞く限り、彼らが手を抜いてたようには思えない。
家族のために一生懸命に働いてきただろうし、
子育ても協力していたみたいだし、
何より何回も書くけど、いざという時には身体を張って家族を守る、
そんな気概が二人とも感じられたんだけど。
だから私は好きになれたんだけど。

ユウヤ君も、とにかくさんざん遊んだタイプ。
正直、人数を聞いて驚いた。
でも、ちょっとだけオンナとして意地悪になる。
「もし、奥さんが浮気したらどう思う?」
無言。
あさってのほうを向いている。
なんだかおかしくなった。
男って勝手だよなぁ。
自分が100回浮気していたとしても、
奥さんの一回は許せないんだね。
でも、ほとんどの男のヒトはこうなんだろうな。

こんなことを考えるようになったのは、
いまさらだけど、
夫が世間の標準からあまりにもかけはなれた人なのがよくわかったから。
長く夫しか見ていなかった私だけど、
はからずもこの歳になって、他の男の人と付き合うことになり。
若い頃とはまったく違う、50代の視点で思いを巡らせてる。
どうやら私はかなりレアな人と結婚したらしい。

究極の選択だけど、
『奥さん一筋で浮気もしないかわりに、セックスもない』
『あちこちで浮気しているけど、セックスの相性は抜群』
皆さんはどちらを選びますか?
もちろん、それ以外の条件はかわらないとしたら。
私はね、最近心の中で天秤を揺らしてる。

改めて夫の性格について考えてみると、
世間の常識からはかなり外れた人。
いくら私が心身に支障をきたしたとはいえ、
妻が他の男とセックスするのを認めることからして、まぁ普通でないし。
とにかく、性欲に限らずすべての欲がほとんどない人間。
物欲もないし、もちろん出世欲もない。
家を建てたいとか、車を買い替えたいとか、新しい服が欲しいとか、
彼の中にはそんな気持ちは、サラサラない。
なんだか半分、出家した人みたいでしょ。
悪友タカコいわく、
「ひとつ上のステージにいっちゃったヒト」
らしい。

そんな夫を長年見てきた私だからこそ、
アツシさんやユウヤ君は、ただただ新鮮にうつった。
まぁ、こちらが標準仕様のオトコなんだよね。
当たり前に性欲があって、
結婚したら、家族のために家を買って、
住宅ローンのために身を粉にして働いて、
で、浮気もして。
でも、夫とは180度違っていたから、
「世の中にはこんな男もいるんだなぁ」
目からウロコだった。
長く生きてるわりには、私もたいがい世間知らずなトコあるよね。
夫があまりにも稀少種。
今ならちゃんとわかる。

なんかうまく言えないけど。
今まで、ただただまっすぐに夫を見つめてきたけど。
眺める角度を変えると、気持ちが少し変わってくる。
最初のうち、私はある程度割り切ってた。
すごく打算的な言い方かもしれないけど、
『メンタル面は夫、フィジカル面はユウヤ君』
みたいな。
でも、人と人が付き合ってくってことは、
そんなにシンプルな運びじゃすまされない。

会うたびに、相手のデータが増えてゆくわけで。
彼の言葉だったり、行為だったりが、どんどんプラスに積み重ねられてく。
これから結婚する相手を求めているなら、願ってもないことだけど。
私達の場合、それは必ずしもいいことばかりじゃない。
ともに家庭があれば、それは『悩み』になる。

けど、仕事でへこんでいる私を、彼らしい軽さで励ましてくれたり。
迷ったり悩んだりしているときには、真摯にアドバイスしてくれたり。
普段がチャラいと、そんな言葉は余計に重みを増す。
正直、ここ数ヶ月は仕事も変わってホントにしんどかった。
自分の精神力が試されてるかと思うくらい。
もちろん夫にもこぼしまくった。
けど、
「慣れない仕事だから仕方ないだろ」
と、一言。
もちろん、彼なりに私を心配してくれたりは伝わってくる。
上手い言葉なんかかけられないヒトなのは、百も承知。
でもね、
ユウヤ君の短いメールが、私の支えだった。

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045-結婚。①

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私とユウヤ君が出会ってから、そろそろ八ヶ月になろうとしている。
きちんと数えてないけど、15回以上は会ったかなぁ。
最初はラブホで会ってそれだけだったけど。
最近は、二人で次をどうするかやり取りして決めている。
買い物行きたいとか、飲みに行こうとか。
で、この前はネットで調べた新しいホテルに行ってみたいね、ってことで。

キレイでオシャレで居心地のいいホテル。
いつもと環境が違ったせいなのか、
結構間があいて我慢の限界だったのか、
この日の二人はいつもにまして、エロさが爆発していた。
お風呂でも、ベッドでも休むひまのないくらい飽きずにつながってて。
「ミオ、潮吹けよ」
そうささやかれながら、執拗に彼の固いものにこすられ続けて。
噴水みたいに潮があふれて止まらなくなってしまって。
何回も奥深く突かれる気持ちの良さに、耐え切れなくて声をあげて。
3回くらいイッてしまったかもしれない。

いまさらだけど。
私は本当に淫乱なのかも。
長い眠りから覚めて、今までの分も取り戻そうとするかのように、
貪欲に快感を欲して、飽きることがない。
今なら、スキモノ、ヤリマン(ちょっと意味違うか)と言われても、
その通り!と胸を張れるくらい。
もしかしたら、前世はこのテの仕事をしてたんじゃないかと、
最近は本気で思ってる。

で、ホテルのあとに飲みに行こうか、なんて話してたけど。
なんせ私達世代はスタミナに欠ける。
移動も億劫になって、冷蔵庫の缶ビール片手にあれこれ近況を話す。

ユウヤ君は家庭のことを、かなりオープンに話してくれる。
決して聞き出したわけじゃないけど、
今や私は、彼の年収やら住宅や車のローンの額、に始まって、
彼のこずかいの内訳まで知っている。
家の間取りも、どんなふうに寝ているかも。
そして今、奥さんとどんなスタンスなのかも…。

今まであえて私は聞かなかった。
セックスレスだけど、さほど仲は悪くないんだろう、と漠然と思ってた。
時折だけど、愛情が感じられるようなことも言ってたし。
何より、自分の稼ぎで家族を養うのを当たり前に思っていて。
年収が減って、カミさんをパートに出すことになっちまった、
と、悔しそうに言う彼をみて、「まだこんな男がいたのか?」
と、私は驚いたのだから。
そして、一生懸命に家庭を守り築こうとしてる彼が、
ますます好きになったのだから。

けど話をつなげてゆくと、思った以上に冷え切った関係らしい。
「ほとんど口きかないし」
「でも、狭いウチだし寝る場所もないし」
「どっちかが寝たの見計らって同じ部屋で寝てる」
「子供が家出てったら、どうなるんだか」
そうつぶやくユウヤ君の表情は、かなりブルーだ。

最初にSNSに書いてたユウヤ君のプロフィールを思い出した。
『ケッコンってナニ?』

前にも書いたけど、私達の共通点のひとつは、同じ年に結婚したこと。
今年は、お互い20年をむかえる。
私は洒落たことの出来ない夫から、何ももらったことはない。
10年目も、そして今年20年目も。
だいたい、婚約指輪も新婚旅行もなかったし。
まぁ、結婚当初は自営でウチもあけられなかったけど。
経済的にも苦しくて、ゆとりなんかなかったけど。
そもそも夫は一切そういうことは、必要ないと考えるタイプ。
愛情を形で示すなんて、そんな考え、彼の頭にはハナからない。

私はユウヤ君に聞いてみる。
「スイートテンとかに、なにかあげた?」
「欲しがってたブランドの指輪」
「15年のときも財布かな、プレゼントしたし」
「今年はどうするの?」
「…何も買わない」
おいおい。
そんなことになってるのかい?

確かに、ユウヤ君は相当遊んでたらしい。
今でこそ、盛りを過ぎて落ち着いているけど。
結婚前はもちろん、結婚したあとも、いろいろあったらしい。

彼は私といるとき、結構な「俺様」になるけど、
基本的にはとても素直なキャラだ。
質問にはたいがいちゃんと答えてくれる。
「セックスレスになってから、いろんな人といろいろあった?」
ユウヤ君は黙って、小さくうなずく。
「セックスレスになる前も浮気とかあったの?」
まるで先生に叱られる子供みたいに、
私の目を見ないでコクンとうなずく。
別に尋問しているわけじゃないけど、
出会って最初の頃の私は、あまりにも夫しかみていなかったせいか、
他の男の人がどんなものなのか、ただただ知りたかった。
今にして思うと、不躾な質問ばかり平気でしていた。

改めて言うけど、彼は本当に魅力的な男だと思う。
子供の部分と大人の部分が、多分私の好きなバランスで混在していて。
「得難い男」いつもそう思う。
ルックスも好きだし、中身も一級品だなぁ、といつも思っている。
なんとなく一匹狼みたいな風情があって、妙な男の色気を漂わせてる。
黙っててもオンナが寄ってくる、得なタイプだなぁ、といつも思う。
そしてセックスも、伊達に場数を踏んでないなぁ、と思うくらいうまい。
まぁ、コレは経験値の少ない私だから、なんともいえないけどね。
だから、今まで相手には事欠かない人生を送ってきたんだろ。

でもね。
「奥さんは浮気とか気づいてるの?」
「…だろうね」
こんなこと、私が一番言える立場でないのは承知してるけど。
やっぱりそういうことなんだろうな。

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044-アラフィフ。

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先月から今月にかけて、何度か飲み会があった。
基本的にお酒は大好きだし、誘われたら断らない。
そして、最近は会えるときにちゃんと会っておこう、と思ってる。

ひとつは娘の小中時代のママ友と。
場所はもちろん地元の、這ってでも帰れるところ。
小さな学校だったから、子供達も親もすごくまとまっていた。
でも、一見幸せそうにみえていたママも、カミングアウトが増えてきて。
ご主人に他の女性がいて、籍は抜いてないけど7,8年別居。
ひとつ屋根の下に暮らしているけど、15年以上家庭内別居。
ん~…。
付き合いが長いと、なんとなくそうかな、と思う部分はあったけど。
はっきりと聞かされるとやっぱり驚く。

ふたつめは、娘の高校時代のママ友。
いまどきありえないくらい真面目な学校だったんだけど、
ここでも、ママ達は抱えてる心情を吐露してきている。
ご主人がEDプラス性格の不一致で離婚検討中。
一人娘が大学入学を機に家を出て、なんだか抜け殻みたいになっちゃった。

学生時代の後輩達も、それぞれに語る。
離婚して気楽な一人暮らしだったけど、私はどれだけ恋してないんだろ?
仕事は順調だけど、不倫ばっかりしてて私はこのまんまなの?
家庭内別居もなれたけど、唯一のかすがいの犬が死んだらダメかも。
今はいいけど、先のことを考えると不安でいっぱい。
それぞれにやり甲斐のある仕事に就いて、
イキイキとしていた彼女達が、今回はちょっとだけ弱音を吐いていた。

今、ど真ん中でそういう時期なんだよなぁ。
改めてそう思う。
少し前なら、新しい仕事に慣れるのに目一杯で、
まったくゆとりのない私だったけど、
でも、少し落ち着いてきて周囲の話に耳を傾けられる。

にしても、この世代の悩みは尽きなさすぎる。
社会的にも責任あるポジションについて、ストレスを溜め。
子供は高校~大学と金銭的に一番ハードな時期に突入。
我が子の就活に、受験以上の心労を背負い。
親や義理の親は、病気&介護の道を避けられないし。
そして極めつけが、閉経前後の訳のわからない我が身。
いったい、いくつもの苦難を乗り越えなきゃいけないんだろう。
なんだか「人生の修業期間」みたい。

でも、そう話す顔つきは、おおむね明るい。
女性って強いね。
表情だけでもなんとなくわかる。
このコは、ここではこぼしているけど、明日からまた頑張れるんだろう。
このコも、そうはいっても打ち込めるものがあるから大丈夫。

ただ、心配になるケースはもちろんある。
皆の励ましにもなかなか表情が変わらないコ。
同居している義理のご両親のことで、いろいろ苦労があるようだ。
でも、ご主人の理解がなくて大変らしい。
そう思ってみるせいか、心なしか回りと比べても、全体的に老け込んでいて。
目元や口元に、溜まりこんだ疲れを感じる。
特に後輩は心配になる。

でも、彼女がちょっと笑顔になって話し始める。
「今、恥ずかしいけど〇〇にハマってて」
K-POPのアイドルグループの名前を挙げる。
「いいじゃない!」
回りがワッと盛り上がって、しばしそのテの話に花が咲く。
…大丈夫かな、彼女も。

20代も確かに悩み多き世代だった。
仕事も恋愛も、失敗したり挫折したりしながら、
自分だけのオンリーワンをみつけていかなきゃならなかった時代。
で、30~40代はそれを形にしてゆくために無我夢中な時代。
子育てには、立ち止まったり考えたりの余裕はないし。
仕事だって、いろいろ面白くなってきて無理も頑張りもきく時代。
そして、もちろんいろんなケースがあるけれど、
アラフィフは、久しぶりに自分と向かい合う時代かも。
春頃に、大学の入学式の特集をしてて。
参列した親世代にインタビューしてるのをみた。
ちなみに我が子アサミも、春から大学生となり、私も同じ立場。
そこで、お母さん達はみんな似たようなこと言ってたな。
「子供の入学式が、私の子育ての卒業式」
「今日がひとつの区切りで、再スタート」
「これからは、自分の人生を考えてゆく」
ちなみに、お父さんはあんまりコメントしていなかった(笑)

確かに、子育てが一段落したなぁ、と私も痛感する。
まさに、これからが自分のための時間なのかも。
私は今、仕事にも恋にもすごく一生懸命。
そして、このブログも。
皆さんのあたたかい気持ちに支えられて、書きつづけていられる。
ホントにありがたい。

がんばろうね、アラフィフ。
青春はまだ30年以上残ってる。

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043-性欲。

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ちょっと恥ずかしい話をするけど、
以前の私は、あんまりにもセックスレスが長すぎて…。
実は、男の人の性器がどんなものだったのか思い出せなくなっていた。
具体的な形もなんかうろ覚えだし、
さらに、袋の部分とはどういうつながり方をしてたのか?
肛門のほうとは、どうつながっていたのか?
となると、もはや想像のつかないレベルになっていた。
なんだか、ストレートな話でごめんなさい。
でも、ウソ偽りのない話です。
前に書いたけど、それがまったくわからないがために、
セックスがどんなものか、夢でも再現できなかったくらいなので。

で、そんな私だったのに、
今や仕事で、はからずも毎日見ることになった。
オムツ替えやら入浴やらで、いろんな方のをいろんな角度から。
今なら、描けと言われたらかなり上手に描ける自信がある(笑)
ほんの一年前なら、考えもしなかったよね。
こんな予想もしてなかった毎日になるなんて。
人生って面白い。

お風呂でおじいちゃんの身体を洗っていると、
「下のほうを洗って下さい」
「洗いましたよ」
「もう一回洗って下さい」
なんてやり取りはザラで。
話には聞いていたけど、セクハラ?に苦笑している。
けど、おじいちゃんも気持ち良さを求めてるんだろうなぁ。
ちなみに、この話をエロいユウヤ君にしたら、
「食べちゃえば(笑)」
と、やたらにウケていた。

もちろん個人差はあるだろうけど、
性欲っていくつくらいまであるんだろ?
平均寿命がのびていくなか、
年金の支給日には、風俗店が混むらしいし、
老人施設で、色恋沙汰も珍しくはないし。
20代の私に、50代のセックスが想像つかなかったように、
きっと80代でも、そういう気持ちの衰えない人はたくさんいるんだろう。

そもそも性欲って何なんだろう?
ブランクありすぎの私が語るのもおこがしいけど。
最近、ちょっとだけ真面目に考える。

私にとっては『無くなってほしい』だけのモノだった。
こんな気持ちさえなければ。
したい、と考える自分が異常。
普通の女の人は絶対にこんなふうに思わない。
まぁ、数えあげたらキリもない。
とにかく、否定的なものばかり。
改めて書き出してみると、私はホントに歪んでたね。

でも、不思議。
わずか一年あまりしか経過していないのに、
今は自分の性欲が『愛おしい』とさえ思う。

ユウヤ君からのエロメールでも、スイッチが入る。
ましてや会う日が近づくと、身体の奥がムズムズしてくる。
会えたときはもちろん、恥ずかしいくらいに濡れてしまって。
「ミオ、ヌルヌルになってるよ」
そんなことを言われると、更に溢れだして止まらない。
今は逆に、こんに濡れる自分が異常なのかな?とさえ思う。

そういえば。
二年前の夏に馬鹿みたいにオナニーしてる時期があったけど、
今も私にとってオナニーは欠かせない。
ただし、まったく違った気持ちでね。

オナニーも性欲とおんなじ。
一年前の私にとっては『罪悪』でしかなかった。
夫に触れてもらえない惨めさ。
性欲が抑えられない自分への嫌悪感。
後ろめたい、恥ずかしい、人と違う。
そして、そんな自分を否定してほしくって、
ずいぶんといろんな人の書いたモノにもすがったっけ。

でも、ユウヤ君に巡りあえた今は全く違う。
したい、と思う気持ちに素直にしたがう。
会う前に、あれこれ想像して感じたり。
会った日に、彼を思い出してもう一度快感を味わったり。
会えない間に、彼としてる気持ちになって満たされたり。

付き合い始めて、少しした頃だったろうか?
「オナニーとかする?」
って聞かれて。
恥ずかしいけど、かなり正直に話した。
ユウヤ君に会う前までのことも。
そしたら、彼はホントに軽く言ってくれた。
「そういう時期ってあるよね」
「でも、そんな時はいっぱいしたほうがいいよ」
「俺も昔はサカリのついたサルか?ってくらいしたし」
そうだ。
あの時、なんでもないことみたいに、サラっと言ってもらって、
すごく肩の力が抜けたんだっけ。

今の私達は、お互いの性欲にとても素直でいられる。
じゃれあって一緒にシャワーを浴びながら、
お互いがお互いを求めてるのを、身体でも心でも感じる。
「エロくなくなったら、捨てちゃおう」
笑って伝える。
ユウヤ君も笑って返す。
「俺も、お前がエロくなくなったらポイ」

自分の性欲を隠したり恥じたりしないで、
ありのままでぶつけられるって、気持ちいい。
自然なことなんだ。
おかしくもなんともないんだ。
好きな人のこと考えて、身体の奥がキュンとするのは、
とっても素敵なことなんだ。

私に性欲があって、本当に良かったなぁ。
ユウヤ君のことを思うたび、熱くなる身体で。
ユウヤ君を受け入れるために、ジュンと濡れる身体で。
本当に良かった。

余談だけどエロい妄想してるほうが、認知になりにくいらしい。
だとしたら、私達は絶対に大丈夫(笑)

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042-乙女。

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「ゴンドラの唄」って知ってる?
そう、う~んと昔からあって、CMでカバーされてる歌。
[命短し、恋せよ乙女]
[赤き唇、褪せぬ間に]
最近、18の娘がやたらに口ずさんでて。
もしかしたら、今の私のテーマソングかもしれない。
娘にそう言ったら、呆れ顔で、
「アレは、ウチラ世代に言ってんだよ」
「実際にもう命が短いヤツは、洒落もにならない」
だってさ。
なかなか毒舌でしょ。
でも、いいんだ。
恋が私をキレイにしてくれる。

もちろん自己満足だけど、今、私は生き生きしてると思う。
久しぶりに会う友人に、褒められる。
この前も、恒例の後輩との飲み会があって、
「なんだかお会いするたび若くなってないですか?」
「スッゴくいい顔してますね」
なんて言われて、めちゃくちゃ嬉しかった。
もちろん後輩だから多少は差し引いたとしてもね。

私はね、最近思い出したけど、恋がエネルギー源なコだった。
小学生の頃から、同級生やら先輩やら、絶えず誰かに熱あげて。
牡羊座、丑年、O型。
並べてみただけで、なんか納得でしょ。
で、うまくいったためしは全くなかった。
今考えると、片思い→突進→玉砕、ばっかり。
夫に会うまで、付き合った人は皆なんとなくだったり、
たまたま友人からそんな感じに発展したりとか。

そんな私が、四半世紀以上も夫だけを見つめていたんだねぇ。
改めてビックリする。

でも、この歳になって原点に帰ったんだな。
中学生のときに、本当に本当に好きな男の子がいた。
勉強はイマイチだけど、サッカーが上手くて。
笑顔が優しくて、誰にでも分け隔てない性格で。
昔でいうツッパリなコにも、がり勉なコにも、幅広くモテてた。
みんながアタック(古いよね)して、ラッキーなコが付き合えて、
別れた、と言う話が広まった途端、みんなが名乗りをあげてたっけ。
もちろん私も、手をあげて頑張ってたけど、勝ち目なんかない(笑)
でも、男の子の間でも慕われてて、やっかみなんかなかった

中1と中3で同じクラスになって、
たまたま同じ苗字のよしみで、私は妹ポジションで、仲良しだった。
卒業式の日、高校は別になっちゃうから、
意を決して、手作りのペンケース渡したっけ。
「どうもな!」
そう言って、手を振ってくれたときの笑顔、今も忘れてない。
あれから一度も会っていないけど、結婚して幸せに暮らしている、って聞いた。

ユウヤ君は、彼に似てるんだぁ。
前々からちょっと思ってたけど、久しぶりにアルバム見たら、スッゴく似てる。
背格好も、眉や目も、仕草も。
勉強のほうはあんまり、なところも。
サッカーが上手、なところも。
照れ屋でぶっきらぼう、なところも。
でも、心底優しくて、男気があるところも。

好きなタイプって、結局あんまり変わらないんだね。
まさか、こんな歳になって、13歳の純な恋が実るなんて。
なんだか、うれしい。

少し前まで、彼にもう一度だけ会ってみたいな、ってずっと思ってた。
もしか、自分が長く生きられない、なんてことになったら、
ありとあらゆる手段使って、絶対に彼には会おう、と決めていた。

人生って、不思議だね。
どんな大人になったの?
『結婚して幸せな家庭築いてるの?』
『きっと、いい旦那さんで、いいパパなんだろうな』
折にふれて、彼を思い出してた。
夢に出てきて、中学生のまんまの笑顔で笑ってたり。

ユウヤ君が大好きだった彼の今を、私に見せてくれる。
想像だけど、多分そう。
一生懸命働いて、家族を守っているに違いない。
少しだけ違うとしたら、きっと彼はユウヤ君ほどエロくないだろう(笑)

恋をエネルギーに生きてた私が、久しぶりに復活してるんだな。
エストロゲンがバンバン出てて。
いろんなことに気を使うようになって。
あんまり言えた話じゃないけど、以前は下着とかもどうでも良かった。
別に誰も見てくれる訳じゃないし。
酔っ払って、化粧を落とさないで寝るのもザラだった。
お恥ずかしい限りだけど。
けど、今は綺麗でかわいいランジェリーを選ぶのが楽しい。
会う日に備えて、お肌の手入れも念入りにする。
服はもちろん、鏡の前であれやこれやと試してみるし。
アクセサリーや靴も、うんと迷う。
大好きな男に会うために、努力を惜しまない。
私にこんな気持ちが残ってたんだなぁ。
命短し、恋せよ乙女。
だよね。

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