048-結婚。④

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最近しみじみ感じること。
私に触れてくれる男は、ただ愛おしい。
そして私が触れることの出来る男は、ことさら愛おしい。
この歳になって、こんな当たり前のことに気づいて驚く。

私と夫の触れ合いは、いつもハグだけ。
もちろん、服を身につけたままの、
外国ならば軽い挨拶みたいな。
もちろん、その短い間に、夫の愛情は感じるけど。
でも、そのハグさえこの1,2年でやっと夫がしてくれるようになったスキンシップ。

五感の中でも、触覚って大事なんだね。
私は、ユウヤ君の身体を触るのが大好き。
耳から、顎、唇、首筋、肩、腕。
「くすぐってぇよ」
と言われながら、いつもさわってる。
私の指が、足が、身体全部が、彼に触れているだけで、
ただただ満ち足りた気持ちになる。
会えないときも、指先が、手の平が彼の感触を思い出す。

私は、ユウヤ君の寝顔を眺めてるのが、すごく好き。
疲れてはてて無防備な顔。
一日中遊んだ少年みたいに見えるときもあるし、
初老に差し掛かったみたいに見えるときもある。
起こさないようにベッドのはしに腰掛けて、
いつまでもいつまでも眺めている。

40代も半ばだもんね。
染めてはいるけれど、こめかみにも白いものは混じってるし、
脇の下にも、下のほうにもちらほらとある。
でも、それが全部愛おしい。
「この人はもう若くないんだ」
そう思うと、余計に愛おしさが増す。
私にも、彼にも、残された時間はあと少し。

夫婦なのに、私は夫の身体を良く知らない。
頬や肩、時々さわってみるけども、
そもそも、あんまり触られるのが好きでないらしい。
そして、寝顔も良く知らない。
夜、仕事に出ていく彼の部屋は、団欒の時間には「あかずの間」だし。
起こさないように、物音たてないように、気を使う。
寝顔を眺めるなんて、もう何年ないんだろう。
私が知っているのは、起きぬけの不機嫌そうな顔だけ。
お互いの寝顔さえよく知らない夫婦ってどうよ?
セックスレスでも、せめて夜一緒に寝てたかったな。
夜は隣で夫にくっついて眠りたかったな。
いまさらだけど、そう思う。
ホントにホントにいまさらだけど。

セックスは気持ちいい。
セックスの幸せがわかって、本当に良かった。
そう思ってる。
相手が気持ち良さそうにしてくれるのも嬉しいし、
私も純粋に快感を求めて、自分を解放出来る。
けど、してみて初めて自分が何を欲してたのかわかった。
私は好きな男に、ただただ触れたかったんだ。
なあんにも身につけない裸のまんま、ペッタリとくっつきたかったんだ。
ヘンな話だけど、挿入とかあってもなくてもかまわない。
イクとか、イカナイとかもそんなに大事な話じゃない。
ただ、なんにも考えずに、
いつもまとってるモノ、全部取っ払って、
好きでたまらないオトコにくっついていたかっただけ。

目には見えない程度に、私と夫の関係も変わりつつある。
珍しく、夫から誘いがあった。
結婚する前に、二人で行っていた割烹料理屋さんに、娘と3人で行こう。
言われたときは、ちょっと嬉しかった。
久しぶりの夫の提案だし。
だけど、ちょっと待て。
お店のご主人夫婦には、すごく良くしてもらって、結婚式にも来てもらった。
でも、何年も不義理しているのが気になって、
顔出そうよ、と私は再三言ってたよね。
でもそのたび、遠いとか、飲んで電車に乗るのは嫌だとか、言ってなかったっけ?
二年前のお祭りもそうだったけど、アナタは娘込みで出かけたいの?

そして、その日が近づいて、私は意地の悪い聞き方をする。
「土曜はどうする?」
ちょっとだけ間がある。
「別にお前が乗り気じゃないならいいよ」
「んじゃ、またにする」
「…そう」

いくら接する時間が短いとは言え、私の変化に気づかないほど、
夫も鈍くはないよね。
自分でいうのもナンだけど、最近の私は生き生きしてる。
多分、恋してるオーラが全身から出てる。
そして、携帯を手放さない。
そんな私を見ての、珍しいお出かけの誘い?
でもね、お酒をたしなむようになった娘を交えても悪くはない。
だけど、どうせなら二人で行きたかった。
もっと早くに。
時間なんて、その気になりさえすれば、いくらでも作れたはず。
昔、夫が住んでいたアパートに私が転がり込んでて、
初めて二人で暮らすようになった頃。
ちょっと敷居の高い料理屋さんだったけど、思い切って入ってみて。
20代の若い二人に、本当に美味しいつまみや、お酒を教えてくれたお店。
ご主人夫婦にも、本当に可愛がってもらった。
そんなお店だからこそ、夫婦円満ですよ、って顔見せたかった。
でも、今はそんな100%な顔は出来ない。

何年一緒に暮らしても、触れることのかなわない夫。
でも、彼自身は自分の人生に満足している。
私がいて、娘がいて、それが彼の幸せなんだろうな。
でも、私は?


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048-結婚。④ への10件のフィードバック

  1. 金太 のコメント:

    正直、最初はユウヤ君にのめり込んでいくミオコさんが心配でしたが、
    この頃は、冷静に彼とのことを客観視してきたようで、少し安心してます。
    やはりSEXを満たすことと、家庭生活の幸せとは別物です。

    こちらのサイトをきっかけに開設した私の「ちっとも悪くないオヤジのブログ」、
    お陰様で訪問者はいらっしゃってますが、まだまだコメントが少ないです。  
    今後も投稿を重ねて、充実した内容に努めたいと思います。

    • ミオコ のコメント:

      金太さん、コメントありがとうございます。

      ブログ、何回か覗かせていただいてますよ。
      ちゃんとコメントすべきなんでしょうが、なにぶんこういう世界に疎くてすみません。
      今回の築地のお店の話もおいしそうでした。
      いつか、行けたらいいなぁ。

      写真も拝見して、いたく納得した私です。

      最近は仕事にも慣れてきて、書く時間が増えてきました。
      本当にリアルタイムな気持ちなので行きつ戻りつですが、どこに着地するか、また時々覗いてみてくださいね。

  2. のコメント:

    お互い割り切った身体だけの付き合い(セフレ)も、お互いが求めているのが同じなら考えようによっては問題無いでしょうが、私達の様に体力に任せ快楽だけの繋がりではなく、気持ちの繋がりから幸せを感じるのは、今の私の憧れだし心身共に幸せを感じるのは素敵ですよ♪

    物理的な繋がりより相手の温もりを感じる「幸せ」これからも大切にして下さいね。

    • ミオコ のコメント:

      Kさん、コメントありがとうございます。

      そうですね。
      今の私はかつての自分からは信じられないくらい、バランスが取れていると思います。
      本当に崖っぷちにいましたから(笑)

      でも、一人の異性との出会いがここまで気持ちを変えてくれるものなんですね。
      今思えば、ずいぶん危ない橋を渡ってきたものです。
      また一からやれと言われても、もう無理でしょう。

      残り少ない人生で、こんな出会いがあったことに感謝しつつ、
      いつも思うことですが、ここに来てくださる皆様一人一人が、
      どうか満ち足りた毎日を過ごされますように。

  3. ふくちゃん のコメント:

    ミオコさんも 夫が大好きなんですね。
    私もです。
    近づきたくても近づけないない夫がいる
    ず~と何年も寝室は別
    何にもなくても 隣に寝ていたら…と
    ミオコさんと同じ気持ちになります。
    我が家の夫も お出かけのお誘いはしてくれますが
    愛犬と一緒でして(笑)…鈍感です。

    ミオコさんが いい方だから きっといい出会いが
    あったんだと思います。
    私の場合も 彼から 夫婦とは決して姿形では
    ないと学びました。
    綺麗とか、形の綺麗なものが愛おしいではなく
    今まで一緒に歩いてきたものが大切ということを…

    私も残り少ない人生…
    姿、形は現状維持をなるべくして…
    いつまでも 女性として輝いていたいと思います。

    今までのことが決して マイナスではなかったとね~

    • ミオコ のコメント:

      ふくちゃんさん、コメントありがとうございます。

      読んでいて気持ちがホッコリしました。
      たまたま、同じタイミングでなおっちさんからもコメントいただきましたが、
      夫婦って血のつながりなくても、親よりも子供よりも、長く人生をともにするパートナーなんですよね。
      そのパートナーを大好きと言えるふくちゃんさんは、本当に幸せだと思います。

      寿命の伸びる中、お二人の時間はこれからですね。
      ふくちゃんさんも私も、最後は、
      「あ~、いい人生だった」
      と笑顔で迎えられるように、今を一生懸命行きたいですね。

  4. なおっち♂ のコメント:

    ここ最近の内容を見ると改めて結婚って難しいなーと思います。
    子どもが生まれると確かに子供中心ですね!!
    でも、子供って去って行くんですよね、そして子供とは血がつながっているんですよね!
    でも夫婦は子供が去った後も夫婦だし、血はつながっていないんですよねー・・・
    そう考えると、人生で一番長く付き合う二人をつないでいるのってなんなんでしょうねー・・・
    10代や20代だととにかくセックスがしたいという思いで、結婚すると毎日でもできると思っていました。
    でも、いざ結婚すると毎日はしないんですよねー・・・、なんででしょう??
    年を取ると自然と性欲が無くなり、セックスはしないのかなーと思いましたが、この頃思うのは、年を取ってからの性欲が大事なのだと思いました。
    何事にも精力的に活動するには性的な関係も必要なんだなーと思います。
    それが、このブログで改めて感じました。
    でも、世の中には40代、50代でも夫婦でセックスを楽しんでいる方のブログも多く拝見します。
    私もそのような方を見習っていつまでも妻とセックスをする関係でいたいと考えます。
    ミオコさんやこのブログを見ている方も充実したセックスライフをがんばってください。
    女性だけでなく、男性ももっと頑張らなければと思いますよ。

    • ミオコ のコメント:

      なおっちさん、コメントありがとうございます。

      ブログを書くと言うことは、自分を見つめ直すことであり、
      同時に、様々な方からの考えもいただける、ってことなんですね。

      なおっちさんのおっしゃるように、夫婦は血のつながりがなくても、
      一番人生の長い時間を共にするパートナーなんですよね。

      知り合いの女性で60歳過ぎて、寿退社した方がいます。
      いろんな事情から、相手の方とやっと一緒になれて。
      寝室は別だけど、月に2回くらいは、隣のドアをノックして、
      「今日はいかが?」
      と、訪問する、と笑って話してくれました。
      なんか、そういうのいいですよね。

      最近の私は、ひまにあかせてあれやこれやと考え中ですが、
      また気がむいたら覗いてみてくださいね。

  5. 匿名 のコメント:

    今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^

    • ミオコ のコメント:

      ブログ、のぞいていただいてありがとうございます。
      良くて月に2,3度と、なかなか更新出来ないのですが、たまあにお立ち寄りくださいね。

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