049-結婚。⑤

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このところ、夫とユウヤ君を秤に載せて、
ああでもない、こうでもないと思いあぐねている私。
でも、具体的にどうこう、と言うわけではなく。
最初の頃は、
「歳をとったら一緒に暮らそ」
と二人で盛り上がってたけど、
付き合いが深まるにつれて、逆に軽々しくは言えなくなってくる。
会うたびに彼のおかれてる状況が見えてきて。
思ってた以上に家庭が冷めてるのがわかってきて。
彼がこれからどうなってゆくのか、ただ案じられ。

正直、私達の心の距離は、どんどん狭まってきていると思う。
なんだかずっと昔から一緒にいたみたいな、そんな気さえしてきてる。
占いってやっぱり当たるんだ、って感心するくらいすべての相性がいい。
お互いの仕事のシフトはわかっているから、忙しいときは数日音信不通。
でも、休みが重なっている日は、相変わらず他愛ないメールをやり取りして。
私が一番嬉しいのは、
「今、何してる?」
ってメール。
今、この時間にユウヤ君は私のことを考えてくれてるんだ、
それだけで嬉しくなる。
一緒にいられない時間のほうが、圧倒的に長いけど、
でも、不安もないし、迷いもない。
おごったいい方かもしれないけど、
お互いがお互いを必要としてて。
お互いがお互いを大切に思ってる。

だからこそ、こうして思いあぐねてしまう。
いつでも俺様で、肩で風きって歩いてる、一匹狼みたいなユウヤ君。
強がり、いい格好しぃ、素直じゃない、気分屋、ぶっきらぼう。
でも、だんだんにその殻が割れてきて、素顔が見えてくる。
本当は誰よりも甘えたい。
そして誰よりも淋しがり。

前に夫は末っ子長男、と書いたけど。
私もユウヤ君も3人兄弟の一番上。
同じ立場だから良くわかるんだけど、長子ってヘンな責任感ある。
特にユウヤ君を見てると、すごくそれを感じる。
それぞれに結婚してるけど、いろいろとあるらしい兄弟のことを、
いつも心配してて、なにかにつけと世話をやいてる。
『自分だって、大変なのに』
私は心の中で思う。
父親やるんだって楽じゃないのに、彼は兄ちゃんも目一杯やってる。
『そんなに背負いこまないでね』
私はユウヤ君を見つめる。
私だって、長年お姉ちゃんやってきたからわかるよ。
お兄ちゃんだって、肩の力抜くトコないと疲れちゃうよ。
私はアナタより、5歳もお姉ちゃんなんだからね。
いろんなものを取っ払って、甘えたって、弱音吐いたっていいんだよ。
そんな気持ちでいっぱいになる。
いつもそばにいて、彼を癒してあげたい気持ちでいっぱいになる。

だけど、一緒にいられる時間はほんの数時間。
駅前でタクシー降りて、私達はそこでサヨナラ。
「じゃ」
と、そっけなく歩いてゆく彼。
私は駅に入る階段の踊り場で、後ろ姿をずっとみていた。
人混みの中に紛れてゆく彼は、寂しげで頼りなげで。
なんだか切なかった。
なんだかやたらに愛おしかった。

「一緒に暮らす」
そう考えるだけで、幸せな気持ちになる。
けど、それがどれほど大変なことかわかってる。
お互い20年の結婚生活を送ってきて、十分すぎるくらい勉強してきてる。
だから、
『ユウヤ君と暮らす』
は、平凡な毎日を過ごす私の、ドラマチックな妄想。
多分、今のところは。

当然だけど、私達は朝まで一緒にいたことは一度もない。
12時を過ぎると宿泊料金になってしまうラブホを、
シンデレラみたいにそそくさと後にする。
「いつか、近場でいいから温泉とか行きたいね」
「いいよなぁ」
と、二人で甘い想像に浸るけど、いざとなったらちょっと困る。
たいして化粧するわけじゃないけど、すっぴんは見せたことないし、
寝起きのむくんだ顔や、寝癖で爆発した頭も見せたくないし。
それはあちらも同様だろう。
そして、毎日をともにするということは、
表明的なことだけでなく、内面的なものもさらけ出してゆくのだから。

この頃「ハレ」と「ケ」について良く考える。
昔の言葉だけど、簡単に言うとケは日常生活。
そして、ハレは非日常。
一昔前なら、正月やら祭やらの、普段とは違う特別な日。
少しニュアンスは違うかもしれないけど、
お互いに家庭を中心にした日常があって。
毎日なほとんどの時間を仕事に費やして。
そして、わずかな時間を作って二人で過ごしてる。
毎日、汗ダラダラでお年寄りをお風呂に入れてるのが日常なら、
好きなオトコと大きなバスタブで泡にまみれてじゃれあうのが非日常。
当たり前だけど、しんどかったり、つまらなかったりの毎日があるからこそ、
「ハレ」の日は特別なものになる。
「ハレ」の日が待っていてくれるからこそ、頑張れる。
今、私達が共有しているのは、ハレの日だけ。
そして、ケの日を重ねてゆくことこそ、何より難しい。

なあんてことを、考えてばかりいる、最近の私。
どうしたらユウヤ君は幸せになれるのかなぁ。


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049-結婚。⑤ への12件のフィードバック

  1. のコメント:

    付き合いが長く深くなれば、相手の良い所を知り「好きになったり」逆に自分との価値観の違いに気付き「嫌い」になる。

    でも、お互いタイミングが合う短い時間(でも、濃厚)での繋がりですから良い所だけが見え現実の夫婦生活に置き換えたら、また感じ方が違うかも。

    お互い家庭環境が最悪で離婚が時間の問題なら、二人で新しい家庭を築くのも夢がありますが、今の様に現実生活の中での少しの非現実時間を二人で楽しみ、また次を楽しみに現実生活を頑張る♪

    そんな付き合い方は1番なのでは?
    ご主人が嫌いでしたら話しは別ですが(笑)

    やはり既婚者にとって彼氏(彼女)と言う存在は、現実生活とは結び付けず現実生活を心地よく過ごす源と私は思ってます。

    • ミオコ のコメント:

      Kさん、コメントありがとうございます。

      読んで思わず苦笑してしまいました。
      私はまたまた暴走(多少のブレーキはかかってますが)、
      しかけるところを、見知らぬ方に諭されてるみたいな。

      でも、夫以外の人間と出会ったことで、夫の良さがわかる部分もあるし、
      かえって夫に優しくできる面もありますね。

      毎回、思ったまんまを好き勝手に書いていますが、
      突然、彼に捨てられる日も来ないとは限らないし。
      ただ、出会えてよかった、と心の底から思う相手に巡りあえた幸せに、
      いつもいつも感謝しています。

      しばらくは取り留めないことを書いてしまうかもしれませんが、
      時々覗いてみてください。

  2. なおっち♂ のコメント:

    ミオコさんは今、充実した生活との事ですが、閉経後のセックスってどんな感じですか?
    妊娠の心配がない、生理の心配がないと言う事から解放されたってどうですか?
    セックスは充実していますか?
    幸せなセックスをしていますか?
    昔、「義務と演技」って言うドラマありましたよね。
    妻はセックスを演技している、夫は義務で妻とセックスをするという内容だったと思います。
    これって、本当に悲しいですよね。
    幸せなセックスってなんでしょうね、特に女性がイクかどうかはわからないし・・・
    って、こんな話ができるのはこのブログであり、ミオコさんにだけだと思います。
    これからもミオコさんとこの様にやり取りさせていただければと思っております。
    よろしくお願いします。

    • ミオコ のコメント:

      なおっちさん、いつもありがとうございます。

      今でこそ、こんなブログを書いていますが、
      私は30,40代をスリープモードで過ごしてきた、かなり遅咲きの人間です(笑)
      お役にたてるかどうか。

      でも、何回か書いていますが、少なくとも私にとっては、イク、イカナイは、
      あんまりたいした問題じゃないみたいです。
      彼にも良く聞かれますが、正直イカナクても、
      「イッたよ」と笑顔で答えてますし。
      でも、セックスはコミュニケーションだから、いいんです。
      私を悦ばそうと、一生懸命になってくれてるのが嬉しいから。
      それ以外のスキンシップも含めて、全部が嬉しいから。

      イキタイだけなら、オナニーのほうが、自分の身体だから簡単です。
      でも、二人で触れ合うのはそれ以上の幸福があります。

      閉経は、あんまり考えたことはないけど、
      確かに妊娠の心配がないってことは、より自由になれるってとこはありますかね。
      まぁ、長年オンナでなかった私なので、残された時間を、目一杯オンナしよ!
      そんな気持ちでしょうか。

      相手を大切に思う気持ちが、お互いに感じられたら、それはいいセックスなんでしょう。
      なあんて、ビギナーがすみません。
      うまく答えになってませんが、パートナーを慈しむ気持ちさえあれば、
      あんまり心配されなくても大丈夫ですよ!

      • なおっち♂ のコメント:

        ミオコさん、なんか取り留めのない質問にも答えてくれてありがとうございます。
        ミオコさんの話しばかりでは不公平ですね、私の話しを少ししますと、今は結婚10年目です。
        今の所、レスと言う事はありません。
        まあ、もともと結婚も早い方では無く、出会ってから半年で結婚していると言うのも影響しているのだと思います。
        ただ、私としてはセックスに自信は無いため、妻が本当に満足しているのか少し不安です。
        セックスはコミュニケーションであり、スキンシップが大事だと言う事もわかるのですが、やっぱりお互い気持ちよくなって満足のいくセックスをしたいとも考えます。
        本当に幸せなセックスライフとは?と言う事をミオコさんや、このブログを読んでいる方に教えていただきたいなーと思っています。
        ここのブログとコメント欄はいろいろと参考にさせていただいております。
        こんなアラフォーですが、宜しくお願いします。

        • ミオコ のコメント:

          なおっちさん、コメントありがとうございます。
          なおっちさんがすごく真面目な方なのが、コメント読むたびに伝わってきます。

          先日、前田さんという方からのコメントで、アダム徳永さんというお名前を知って。
          ネットで調べてみました。
          たくさん著書やDVDがあって迷いましたが、写真集を買いました。
          すごく素敵な内容でしたよ。
          こんなふうにセックス出来たら、と思えました。
          他にもかなり話題になりましたが、宋美玄さんの「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」も、真面目でためになりますよ。

          私も根が真面目なんで、とにかく勉強中(笑)です。
          なおっちさんも、パートナーと素敵なセックスが出来ますように、
          心からお祈りしていますね。

  3. ハル のコメント:

    ミオコさんが今の幸せを大切に思い、ユウヤ君も愛しく思っておられる事がよく分かります。ユウヤ君も幸せであって欲しいですものね。相手も時間も取り巻く状況も、全てを愛しく大切に思えるセックスをステキに思います。どちらに揺れ動いても、どれも正直な気持ちなのだろう…それが伝わってきます。
    最近、『100万回の言い訳』唯川恵著の本を買い読み始めました。誰かがこの本の紹介に「人は恋愛すると結婚したくなり、結婚すると恋愛したくなる」と書いてあったので。
    本屋さんには女性側の性を扱った書籍も多いのに驚きました。ちょっと躊躇して、買ってませんが…。性は体の一部です。正しく素直に受け止めて、生きていきたいなぁと思いました。

    • ミオコ のコメント:

      ハルさん、いつもコメントありがとうございます。

      ハルさんのおっしゃる通りですね。
      恋愛すると結婚したくなり、結婚すると恋愛したくなる。
      なんだか図星過ぎて、苦笑してしまいました。

      いつも思うけど、ハルさんは心優しいお母さんみたい(失礼)。
      そばにいてくれたら、擦り寄って甘えてしまいそう。
      暴走する私に、やんわりブレーキかけてくれる、そんな存在ですね。

      私の書いているものは、相手の仕事や家族構成は若干変えてありますが、ほぼ私のリアルタイムな気持ちです。
      どうなってゆくかはわかりませんが、素直にそのときのありのままを書いていきたい、そう思ってます。

      本、読んでみますね!

  4. ハル のコメント:

    アラッ、私は、ミオコさんをいつも一歩先行くお姉様と思っておりますのよ(笑)。
    悩んで苦しんで、でも、周りを慈しみ、愛していたら、進むべき道が見えてくるのだろうと、ミオコさんのブログを拝見していて思います。
    フレー、フレーミオコ!フレー、フレー、みんな!フレー、フレー自分!

    • ミオコ のコメント:

      ハルさん、いつもありがとうございます。

      ハルさんのエール、本当に嬉しい。
      読んだ方もきっと励まされたのではないでしょうか。
      お会いしたことがなくても、温かなお人柄が伝わってきます。

      今、ミオコさんはモード『ヤバい』に入っています。
      書きたくてたまらないけど、仕事疲れで気づくと爆睡(笑)
      でも、早く今のこの気持ちを形にしたいので、今週中にはなんとかしますね。

      こんな私の日常ですが、目を通していただく方達に、改めて感謝です。

  5. 匿名 のコメント:

    今日は~^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします

  6. ミオコ のコメント:

    ブログ、のぞいていただいてありがとうございます。
    良くて月に2,3度と、なかなか更新出来ないのですが、たまあにお立ち寄りくださいね。

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