023-経過。

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母親がいなくなったあとも、9月は何度か過呼吸になった。
いったい、何がきっかけになるのかは良くわからない。

出勤途中で苦しくなり、ドリンクの自販機で順番待ちしていたら、
私の息の荒さにビックリした人が、先を譲ってくれたり。
タバコを買いに入った店では、ラムネや酢こんぶをもらったり。
多分、熱中症だと思われていたのだろう。

やっと職場にたどりついても、使い物にならないこともあった。
でも、とりあえず紙袋で二酸化炭素を戻せば、大分落ち着くので、
最初のときのように、取り乱しはしなかった。

そんな中、いきなり夫が山に登ろうと言う。

よりによって、このクソ暑い夏に登山?
最初は冗談でしょ?って思ってた。

けど、山が大好きで時折近場の山に登っている夫は珍しくひかない。
結局、頂上で飲むビールはうまいぞ、の言葉に誘われ行ってみることにした。

晩夏の山は、木々が生い茂っていて、思っていたより涼しかった。
ど素人の私でも、なんとか登れそうな山を選んでくれたのだろう。

夫はいつも優しい人だけど、ことさら優しかった。

私を気遣いながら、歩調を合わせ一歩ずつ登っていってくれる。
私の歩みが遅くなると、一休みしようと立ち止まってくれる。
水筒に用意してきた冷たいレモン水を飲ませてくれる。

「ゆっくり、ゆっくりでいいから」
何度もそう言う。

つないだ手から、夫の気持ちが伝わってくる。

私は、この夏、ずいぶんヘンテコになっちゃったけど。
性欲の固まりになって、毎晩オナニーして、出張ホスト君に会って。
突然立ってられなくなったあと、爆発してケモノみたいに暴れて、呼吸困難になって。

でも今は、
住み慣れた町を、夫と並んで見下ろしてるこの瞬間は、
果てしもなく穏やかで幸福だった。

翌週、かねてから考えてた心療内科に行ってみることにした。
正直、抵抗はあった。
でも、一度きちんと専門家に話して、心身を良い状態にしないと。

次の休みに、ネットで探した病院を訪ねてみた。
まだ新しいらしく、綺麗で清潔なトコロ。
プライバシー保護のため、名前ではなく、渡された番号札で呼ばれる。

30代後半くらいの若い男の先生だった。
母親のこと、夫とのことを洗いざらい話す。
先生は静かにうなづきながらPCを打ち込んでいく。
今までに起こった症状を話して、薬を処方してもらって。
精神安定剤と、緩和するための胃腸薬と、あともうひとつ。
しめて20分くらいだったろうか。

まぁ、想像していたのとはなんとなく違った。
もっと時間をかけて、カウンセリングしてもらえるかと思っていたし。
でも、待合室は結構混んでいたし、時間も押せ押せなんだろうな。

事情は違っても、こういうところに来る人達が少なからずいるんだな。
そう思うと、気持ちが楽になった。

具体的にああしろ、こうしろ、でなくても、
まったく見知らぬ相手に感情を吐き出すことは、多少心の荷を軽くした。

少しずつでいいから、もとの自分に戻りたかった。

母親のいない間に、家の中もちょっとだけ模様替えした。
今までデッドスペースだった板の間に、私だけのコーナーを作ってみた。
間仕切りを兼ねた本棚を買い襖をたてると、L字にささやかな空間が出来た。
中東の丸い白熱灯をネットで買って、テーブルの上に置いた。
ポッと燈った明かりは優しくて、見ているだけで癒された。

考えてみると、今まで長い間私にはこんな場所すらなかったんだ。
本棚に好きな作家の本や、お気に入りの小物を並べたときは、心底嬉しかった。
携帯のカメラで撮って、しばらく待受にしていたくらい。

他にもいろいろやってみた。
瞑想する、ヒーリングミュージックのCDを聞く。
私のように、心が弱くなった人達の書いた本もあれこれ読んでみた。
とにかく何でもいいから、すがってみたい時期だった。

気がつけば、性欲はキレイにどこかに行ってしまっていた。
あんなに荒れ狂っていたのは、いったいなんだったんだろう?
休火山が大噴火するだけして、スッキリしたんだろうか?

50年近くも付き合っている自分なのに、なんだか良くわからない。
ただわかるのは、限界だったんだろうと言うこと。
必要だったんだろうと言うこと。

静かに秋から冬になり、一見私の周辺は穏やかだった。
年末には母親も帰ってきたが、以前よりはストレスを感じなくなっていた。

けれど。
今だから言えるけど。
この2010年のいろんな出来事は、次のステップへの序章だった。

2011年、私は想像もつかなかった一年を歩むことになる。

 

 

 

 


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