011-出会い系。

でも、出張ホストに会うのは、勇気が要りすぎる。
マサトさんのページは、時々眺めていたけれど、
そこからの一歩を踏み出すのは容易じゃあない。

でも、私は毎日あれこれ考えていた。

出会い系サイトとかに、一回くらい登録してみようかな。

知らない誰かとメールして、こぼすくらいしてみたい。
一旦そう考えると、やたら心がはずんだ。

仕事のトラブルもあって、ちょっと気持ちがささくれだっていた日。
休憩時間に、前から目星をつけていたところにアクセスしてみた。
必要事項を入力して、思い切って送信。

途端、集中豪雨みたいにメールがきた。

慌てた。
どういうシステムになってんの?

茶髪でロン毛の日焼けした若者やら、
胡散臭いとしか言いようのない、年収〇千万とかの、
誰が見てもサクラとしか思えない人からのメールが
写真つきでバンバン届く。

なんだか、サッパリわけわからない。
じっくり相手を探すというわけにはいかないの?

でもまぁ、暇つぶしに「まる子」と名乗って、律儀に返信はしてみた。
年齢が離れ過ぎてます、
イケメン過ぎて私にはもったいないです、
エトセトラ。

今もわかんないけど、私がアクセスすることで、利益を得る人がいる訳だよね。
とにかく、このサイトがヤバいことは、よおくわかった。

その日のうちに退会。
正味、半日だった。
なんか疲れたぁ。

ただ、一人心に残っているコがいる。

何回かやり取りして、私が夫とのセックスレスを打ち明け、
「私に性欲さえなかったら、シアワセになれるんだけどね」
と、思わず本音をこぼしたら、すかさず返事をくれた男の子。
太郎君とか名乗ってたかな。

《まる子ねえさん、そんな淋しいこと言わないで》
《「性欲はあって当たり前、そんなふうに考えないで》

見も知らない、おそらくは写真とは別の、アルバイトのコなんだろうな。
もしかしたら、女の子かもしれない。

でも、そう言ってもらえてちょっと救われた。

私に性欲さえなければ、何もかもがうまくいくのに。
これは、この18年の間に何百回も考えたこと。
夫と同じように、私も淡泊ならどんなに良かったろうと。

でも、したいと思うのは自然なことなんだよね。

ありがとう、太郎クン。

こんなふうに、誰かに聞いてもらって気持ち上向きになるなら、
思い切って、出張ホストさんにもメールしてみようかな。

マサトさん、悪い人じゃなさそうだし。
どういう感じか、とりあえず飲むだけでもいいし。

でも万が一、ホテルとかに行くことになって、
私はなんでもない顔して、家族に会えるだろうか?

夫は11時過ぎには出かけてしまうけど、娘の目が気になる。
飲み会で遅くなることはたまにあっても、訳が違う。

真面目な女子校に通い、恋愛経験は皆無なコだけど、勘は鋭い。
母親がオンナの顔を見せることに、おそろしく敏感だ。
シュンとメールやりとりしていただけで、何かを感じていたフシもあった。

やめとこ。
この夏さえ終われば、私の気持ちも少しはクールダウンするだろう。

けど、翌日娘が言う。
「今度さ、〇〇ちゃんちに泊まりに行きたいんだけど、いい?」

こんな機会は年に一度あるかないか。

マサトさん、会ってみようかな。


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