008-ふれあい。

誰かに優しく抱きしめてもらうこと。
それが、こんなにも気持ちを穏やかにするんだな。

何も口に出さなくても、鼓動が、ぬくもりが、言葉を伝えてくれる。
大丈夫。
安心して。

そんな気持ちを形にするかのように、シュンから長い長いメールが届いた。

《会う前からなんとなく想像はついていて、どうしよっかな、と思ったけど》
《俺にはお前がどんなにダンナを好きかってことしか、伝わってこなかったよ》
《ミオコは、愛してるってことをダンナに表現してほしいだけの、
可愛い女なんじゃないか》
《だったら俺に話したように、抱きしめてほしい気持ちを素直に伝えようよ》
《私は今もこんなにアナタが好きなんだよ、ってね》

本当に長いメールだった。
こんなに長い携帯メールはもらったことがなかった。
携帯で長文って苦手、と苦笑していたシュンがくれた。

涙が出た。

《なんてったって、特別な友達だからね》

数日後、私は多少お酒の力も借りて、TVを見ている夫にくっついてみた。

いつもは遠慮してしまっていた。
たまにしかない休みは、余計なことで煩わせたくなかったから。
夫が疲れ果ててるのは、私が一番良く知っているから。

このところ、口をきかなかったり、朝っぱらから泣いてたり。
そんな私を彼なりに案じてくれていたのだろう。

ぺたっとくっついてきた私に、夫は安心した表情をみせた。

両手を夫の身体にまわして、抱きついてみた。
勇気を出して肩の辺りに唇をつけてみた。
首筋やあごにも這わせてみた。
そして唇にも。

夫は拒まなかった。
私をじっとみつめていた。

夫婦なのに嘘でしょ?
って疑うかもしれないけど、私達はこんなことも18年ぶりだった。

ソファに座る夫と私は、何も話さずただ抱き合っていた。

それが、お互い部屋着を身につけたままだとしても。

長く味わったことのない満ち足りた気持ちが、私を包む。

久しぶりに夫に触れる。
生え際の白髪も、目尻のシワも、全部が愛おしくて涙が出てきた。

やっぱり大好き。

私と夫はこれでいいんだ。

でも、こんなことさえ長い間出来なかった。
何故?
勇気を出せば、こんなに簡単なことなのに。

「来週、お祭り行かない?」
地元の夏祭りがもう少しだった。
私は無性に夫と二人で過ごしたかった。

「いいよ」
夫が言ってくれた。

夫は深夜働いている。
夜出掛けるために、夕方から11時過ぎに眠る。
休みといっても、そのペースはあまり崩さない。
だから、私達が夜二人出掛けるなんてことは、ずっとずっとなかった。
私も言えなかった。

でも二人で、お祭りに行ける。
行くところなんて、どこでも良かった。
ただ、二人で手をつないで歩きたかっただけ。

翌日、シュンにもメールした。
《私、素直になれたよ》
《いろんな形があるけど、私はこれで十分》
《ホントにいろいろありがとう、感謝!》

けど、ほどなく、私は夫の言葉で泣くことになる。


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