036-未来。

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寝っころがってAV見ながら、ふと聞いてみた。
「誰かを好きになって、泣いたことある?」
私はアツシさんのメールで、ボロボロ泣いた自分を思い出していた。
「あるよ」
「いつ?」
「10代の頃」
一見酷薄そうな彼から、意外な返事がかえってくる。
「私、この前彼からのメール途絶えたとき、
ご飯が喉通らなくなっちゃってさ」
「諦めてた頃にきたメール見たら、泣いちゃった」
「…俺も高校んとき、フラれて飯食えなくなった」
「親も心配するくらいでさ」
ユウヤ君がぽつりぽつり昔話をする。
私は10代の彼を想像してみた。

「お前もうちに帰れば、お母さんで、俺も親父で」
「だからお互い家庭のあるヤツの恋は、本気にならないことが一番大事」
「お前が飯食えなくなったのは、本気入りかけてたからだろ」
いつになく、彼は話し続ける。
「既婚者の恋愛は、こうして時々会って気持ち良くて、
それでオシマイにしないとね」
「そっかぁ…」
「だろ?お前まだまだなんだよ」
そう話すユウヤ君の横顔を、私はじっと見ていた。
この人は、私なんかよりずっとずっと傷つきやすい人なんだな、多分。
ぶっきらぼうな中に、繊細なものいっぱい抱えてる。
なんだか。
愛おしさが増してくる。
ギュッと抱きしめたくなる。
言われたように、今度は上手に大人の付き合いが出来るかな?
でも、ユウヤ君は会うたびに魅力を増してゆく。
一見クールな外見から、どんどん溢れて来る優しさに惹かれてゆく。

何度目かには、初めて街中のファッションビルの前で待ち合わせた。。
二人で忘年会しよう、という彼の提案で。
でも、ホテルでしか会ったことのない私達に、
こんなふうにパブリックな場はなんだかこそばゆい。
居酒屋のテーブルに向かい合って、改めて照れる。
ユウヤ君はお店のスタッフに、
「今日のオススメって何?」
と楽しげに聞いている。
そんな態度も、すごく自然で感じいい。
お箸の使い方がすごくきれいなのにも、ちょっと驚いた。
どうしよう。
どんどんポイントが加算されてゆく。
タクシーでラブホに乗りつける。
もちろんこんなことは、生まれて初めてだ。
程よく酔っ払った私達は、いつもより淫らになる。
今日で何回目になるんだろう?
会うたびに、身体の相性はますます良くなる。
私も自分の中に潜んでいた、とてつもない性欲に目覚めてく。
もっと欲しい。
もっと感じたい。
休む間もなく、二人で絡み合う。

「もっと早くに出会えてたら、結婚してたかな?」
ユウヤ君が、ぽつりと聞く。
「してたんじゃないかな」
そんなやり取りが、素直に嬉しい。
会うたびに「好き」が増えていく。
表面は軽さを装っているけど、
アツシさんと同じく、昭和な男なのもわかってきた。
自分の稼ぎで家族を養って。
いざというときには、身体を張って家族を守って。
それが当たり前だと思ってる、芯は古風な男。
私は、当たり前のようにフルタイムで働いてきたけど
そんなふうに思う男は嫌いじゃない。
思わず口に出して言いたくなる。
「私達、出会えて良かったね」
ユウヤ君も、素直に返す。
「んっ」

お互いの連れ合いのことは、あまり話さない。
子供の話はしても、暗黙のルールみたいな。
ただいつだったか、独り言みたいに彼がつぶやいたことがあった。
「可愛いとか、きれいとか、そんなんで結婚ってするもんじゃねぇな」
私はなにも言わなかった。
けど、最初に感じたように、私達は同類だと思う。
そして彼の奥さんも、私の夫と同類なんだろう。
相手のことは大切に思ってる。
けど、セックスは好きじゃないし、したくない。
なんとなくわかる。
「俺、お前の話聞いて、男でもそういうのあるんだって、わかったよ」
そんなことも言っていた。
でも、私達はセックスしたい。
心だけじゃなくて、身体も触れ合いたい。
裸で抱き合っているだけでも、この上ない幸せを感じる。
そして、ひとつになれる瞬間に、生きてる幸せを感じる。
けど、パートナーはそれを望まない。

「歳をとったら、一緒に暮らそ」
ちょっとだけ本気で言ってみる。
「うん」
ユウヤ君が笑う。
シアワセになる。
けど、
今は駄目。
今は無理。
お互いの子供も、まだ大人になっていない。
そして、パートナーに愛情もある。
でも。
いつか。
子供達が大人になって、こんな関係も理解してくれたとしたら。
そして、パートナーとの関わりを考え直す時期が来たら。
人生の最後を二人で過ごしてるかもしれない。
夢物語なのはわかっている。
でも、そんな未来を想像するだけでも、歳をとるのが楽しくなる。


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