034-カルイ。

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「今まで何人くらいと会った?」
ユウヤ君がごく普通に聞く。
「…5人」
正直に答える。
「あっそう。オレも5人」
なんだか、やたらに軽い。
「そんなかで継続してる人は?」
答えにくいけど、ここは嘘ついちゃいけない気がした。
「一人…」
「そっ。別にオレ、2号でかまわないから」
サラっと言う。

ネットでの出会いに、慣れてる人なんだろうな。
彼は、変わらぬ調子で話を続ける。
「この前まで付き合ってた54歳の人に、
孫の面倒みるから、もう会うヒマないって言われてさ」
孫?
思わず、笑った。
でも、私達の世代なら十分にある話だ。

ユウヤ君は、とにかくノリが軽い。
なんだか、初めて会った気が全然しない。
かなりいろんな女性と遊んでるみたいだから、思い切って聞いてみる。
「女の人って、いくつくらいまでセックス出来るのかな?」
ユウヤ君は笑って即答してくれる。
「オレ、もっと若い時に60歳のヒトと付き合ってたし」
「なんの問題もなかったよ」
「オマエが60になっても、オレ55だし、楽勝じゃない?」
この人、今日会ったばっかりで、あと10年保証してくれるわけ?
なんか、ものすごく嬉しかった。

やがて、彼が私に触れはじめる。
初めのうちは、反応を見ながら注意深く。
やがて、かなり大胆に。
私はそんなに経験あるほうじゃないけど、
間違いなく、この人はセックスがうまい。
若い頃から相当遊んでて、オンナの扱いも、おてのもんなんだろうな。
そして、今までもこんなこと、数え切れないほどあったんだろう。
けど、それが今は気楽で心地良かった。
でも、なんていうんだろ?
この人、めちゃくちゃ軽いけど、同じくらい真面目な人かもしれない。

アツシさんのことは、頭になかったわけじゃない。
でも、言い訳がましいけど、あまりに会えなさすぎる。
それに好きすぎて。
恋愛がしたかったわけじゃないのに、お馬鹿な私は一途になりすぎて。
そんな煮詰まった気持ちを、撹拌してくれるには、
ユウヤ君はもってこいの相手だった。
ルックスもいいし、声もいい。
そしてこれだけセックスも上手かったら、女の人には不自由しないだろう。
酷薄な感じが魅力的なオトコ。
「なんかさ、ユウヤ君ってヒモが似合いそう」
思わずそう言うと、
「良く言われる」
と一言。
スナックのおネエさんとかに、すぐ言いよられるタイプだな。
いろいろ聞いてみたかったけど、なにしろ今日初めて会った相手だし。
でも、このヒト、興味深い。

翌日から、私達は日に何度もメールのやり取りをした。
自分も返事が遅いとイヤ、と言い切る彼は、仕事中以外はやたらにレスが早い。
一緒にいて、会話するみたいに、ポンポンとメールが行き交う。
「今、何してんの?」
「お昼寝」
「オナニー?」
「…お馬鹿」
多い日は50通くらいもやりとりしたかもしれない。
なんだか私達、高校生みたい。他愛ないやり取りが、楽しくて仕方ない。

近場で会社の飲み会があるときは、ひっきりなしにメールが来る。
「やりてぇ~」
「出てきてよ」
聞き分けのない、駄々っ子みたいなヤツ。
仮にも主婦が、日付変わる時間に出ていけるわけないだろ。
でも、気持ちは弾む。
〈なんだか、サカリのついたワンコみたいな人だなぁ〉
でも、いやらしいとかは全然ない。
なんか、憎めなくて可愛い。
いろんな男の人がいるんだなぁ。
夫に出会う前の20代の頃も、何人かとは付き合ったけど、こんな人は初めて。

以前は、ほぼ毎日アツシさんにメールしていたけど、
それも負担になりそうで、間隔を空けている。
退院以来、返事は途絶えがちになっている。
忙しいのもあるけど、自分の体調に不安抱いたり、
周囲の親しい方が亡くなったりが続いているらしい。
元気がない。
メールでは、私にあやまるばかり。
そんなこと気にしなくてもいいのに。
でもどんどん気落ちしてゆく感じで、心配でたまらなかった。
私はズルイかな?
そう思う気持ちは絶対にあるのに、ユウヤ君の誘いにときめいてる。
「今日はヒマ?」
「ヒマだよ」
「会える?」
「会いたい!」


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