001-はじまり。

「一目惚れした男と一緒になって子供にも恵まれました」

私の四半世紀を、ごく簡潔に言うならそんな感じ。

まぁ、結婚するまでには、多少ドラマチックなこともあったけど。

かなり長い間、離れ離れで過ごさなきゃならなかったり。
私の親が猛反対して、許しを得るまで苦労したり。

でも、1985年、24歳の冬、
バイト先のドアを開けて入ってきた
長身の彼に恋に落ちた私は
31歳の初夏、彼と結婚した。

穏やかな彼との間に、翌年には娘も生まれ、
めでたしめでたし…。

でも、そうは問屋がおろしませんよ、ってのが人生ですよねぇ。

娘が一歳になった年、私は泣いて実家に帰った。

妊娠が分かってから、彼はいっさい私に触れなくなった。
今思えば、あれが私達の長~いセックスレスな日々の幕開け。

これは、20年近くに及んだ、私のセックスレスな人生の記録。
50歳という節目なトシになっちゃって、
なんか文章に残しておきたくてたまらなくなった。

面と向かっては聞けないけど、結婚して一年以内の夫婦なら、
どのくらいの頻度でセックスするんだろ?
私はね、結婚した年に3回。
そしてそれから今日に至るまでの19年間、ただの一回もナシ。

私は結構鈍くて、最初はこんなものかなぁ、と思ってた。
結婚前はお互い若いし、元気ハツラツなときもあったけど、
今は仕事も忙しそうだしなぁ、と。
遠距離恋愛も長かったから、
2年間全く会えないときもあったし。

でも、私がそんな気持ちになる夜も、なぜかやんわり拒絶される。
というか、夫はそもそも私に触れてこない。
シャイな人だから仕方ないのかなぁ、と思いつつ、
子育てに明け暮れてた。
仕事もしていたしね。

でも、私は夫が大好きだし、普通に触れてほしい。

ペッタリ身体をくっつけて、腕枕で寝たいと思うのはおかしいの?
結婚前はごく普通にしてたじゃない?
日に日にそんな気持ちが募ってく。
いくらなんでもおかしすぎる。
鈍い私にもさすがにわかってきた。

それから話し合いは何度も何度も繰り返された。
泣いたり、
わめいたり
脅したり、
詰め寄ったり。
けれど、無口な夫はポソッとつぶやくだけ。
「したくない。でも、別れたくはない」

これは何回も言うけど、
私は世界中の男の中で、夫が一番好き。

だから長い間、可能な限りの理由を考えて、
自分を無理矢理納得させた。

ごく普通の夫婦のように、小さないさかいもあったけど、
いったんは実家に戻ったこともあったけど、
子育てや仕事に追われつつ、普通に年月を重ねた。

セックスレスに関する不毛なやり取りも、めったにしなくなった。

まぁ、仕方ないか。
夫が私を大切に思ってくれているのは、
他ならぬ私が、一番よく知っている。
このままこんなふうに、過ごしていくんだろう、
と思っていた。

そして49歳の夏、
私は呼吸困難になって、救急車で運ばれた。


人気ブログランキングへ


カテゴリー: diary パーマリンク

001-はじまり。 への1件のフィードバック

  1. 朴念仁 のコメント:

    貴方のブログを読みながら、あの女性に悪いことをしたと悔やんでいる。
    妻が長期出張のとき、高校時代の同級生、朋子(仮)から電話をもらった。
    いまとても苦しい、やり場のない憤りに自分を抑えられなくなりそうです・・・と。
    美術クラブで一緒に写生した人だった。
    苦しい理由を聞いたが、「私がいけないの」の一点張りだった。
    20過ぎに大恋愛で結ばれたとの噂に、正直羨ましかった。

    30近くになって上司の勧めで結婚した自分を、意気地なしだと責めた。
    恋はしたが、いずれも片思いで、女性恐怖症のようになっていた。
    性行為はあったが、人から聞く目くるめく思いなどとは違う。
    ただ身体を合わせ、性器を挿入して必死で励んだが、彼女の反応はなく独りよがりで終わる行為ばかりだった。
    結ばれて1年後、恥を忍んで親友に夜の生活について尋ねた。
    初めは取り合ってくれない友人だったが、私の異常なまでの懇願に本音を話してくれた。
    結婚後数ヶ月で、彼女は乱れ、ときには失神するほど感じるようになったという。
    射精すると、余韻を楽しむことなく結合を解き後始末もそこそこに背中を見せて寝てしまう彼女。
    お前のリードが足りないのではと言われ、手解きを受けた通りにするが、変態扱いされさらに落ち込んだ。

    そんな夫婦生活でも子は出来た。子を身ごもると、それ以来身体に触れることさえ出来なくなった。
    20年近い月日が流れた。そこに彼女からの電話があったのだ。
    驚いたことに、住所録を頼りに彼女が突然家にやってきた。「家に帰りたくない、迷惑をかけないから泊まらせて欲しい」と言う。
    未婚女性ならいざ知らず、妻の留守に女性を泊めることなど出来ない相談だった。
    近くのホテルまで送り届けたが、泣く泣く彼女は部屋を取った。

    このブログを読むと、あの時の彼女も同じような気持ちだったのではないかと、追い返したことに心が痛む。
    あの時、貴方のように「私を抱いて欲しいの」と言えなかったのだろう。
    今になっても気の毒で仕方がない。
    あれから30年、おばあさんにになった彼女が突然私の家に来たのだ。
    しかも、家内が留守の時、「私ほど不幸な女はいません」と寂しげに私の手を握った。
    もう少し若ければ、あるいは30年前の埋め合わせをしてやれたかも知れない。

    男も女も、性慾は同じように持っているのでしょうね。

朴念仁 にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">