054-嫉妬。

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8月は好きじゃない。
暑さももちろんだけど、ユウヤになかなか会えない。

わかってはいる。
何日から何日までは、〇〇に行って、何日から何日までは〇〇に行く、
予定もきちんと知らせてくれる。
だけど、思ってた以上に辛い。
ユウヤ君も、本当はあんまり行きたくない、と言いつつ、
まだ小学生の下のお子さんに、思い出のひとつも作ってあげなきゃ、
そう言って家族で旅行に出かける。
私は、彼のそういう部分も含めて彼が好きだと思う。
だけど、彼がいつもの場所に、いないことが気持ちを不安定にさせる。

こんな形の恋をするのは初めてだから、
結構辛いもんなんだなぁ、ってこの歳になって初めて感じてる。
今まで無縁だった「嫉妬」と軽く戦ってる。

もちろん、私にも家族がらみの予定は多少ある。
でも、子供も大学生になれば、事情が違う。
バイトだ、イベントだ、夏フェスだと忙しく飛び回っているし。
だから、ユウヤ君ちみたいに、家族揃っての旅行なんてもうない。

普段は仕事のサイクルがわかってるから、メールするタイミングが掴める。
だけどね、家族旅行中はさすがに遠慮するよね。
一日目、二日目、なんとなく悶々として。
気持ちが落ち着かなくなってくるのが、自分でも良くわかる。
今頃何してるの?
家族と一緒に、普段と違う時間を過ごしてる彼を想像する。
当たり前だけど、一緒に観光したり、レストランに入ったりしてるんだよね。
同じホテルの部屋で一緒に眠るんでしょ。

正直今までは、あまりこんな気持ちにはならなかった。
私が独身なら、もっと切なくて身をこがしていたかもしれないけど、
お互いに伴侶がいて、子供がいて。
背負う背景も条件も同じだったし。
こんなふうに、ユウヤ君の家族のことを考えて嫉妬したりなんてなかった。

でも、最初に、いつだったかな?
会う前に、あれこれやりとりしてたとき。
そう、私が今髪を染めてる、ってメールをしたときだ。
彼から返事に、
「良く自分で染められるね」
「俺はいつもカミさんにやってもらってる」
って書いてあったとき。
私はなんだかめちゃくちゃ反応してしまって。
すぐに、多少の嫌みを込めてメールしまった。
「なんだかんだ言って、仲良しじゃん」
奥さんに髪を染めてもらってる光景を思い浮かべただけで、ムッとした。
すかさず返事がくる。
「不仲だよ」
「美容院で染めると高いし」
そのメールで安心する。
そんな言葉を聞いて、ホッとする。
なんて了見の狭いワタシ。
こんなことに嫉妬するんだ。

結局、ユウヤ君からは旅行二日目にメールが来た。
「なかなかメールできなくてゴメン」
「生きているから安心して」
数えてみたら、メールが途絶えたのは二日間だけだった。
馬鹿みたいに長く感じたのにね。

私は根がチキンで心配性だ。
ユウヤ君もそれを知っていてくれる。
連絡が途絶えると、私がどんなに不安になるか。
良くわかっていてくれる。
だから「生きてるから安心して」と言ってくれる。
彼からのメールが届いただけで、気持ちが安定する。
安心して仕事にも行ける。
いつも通りに生活できる。

なんだか最近の私達はヤキモチやきあってる。
夏休みで、たまたま母親も娘も泊まりがけでいない日があって。
旦那と夕飯がてら、近所の焼鳥屋にでも行く、そうメールしたとき。
この前も結局飲みに行かなかったし、何度か誘いを断ってたから。
ユウヤ君もすかさず反応する。
「愛する旦那と焼鳥屋、羨ましいね」
「ミオが行こうって言ったの?」
旦那みたいなタイプと長く暮らしているとね、
ヤキモチやかれたことなんかないから、正直ちょっとうれしくなる。
いい歳した大人が、おんなじように相手の連れ合いに嫉妬してる。
なんか笑えるよね。

最近、夫にはずっと冷たかった私。
ユウヤ君と知り合ったことで、今までと全く別の角度から、彼を見始めてる。
まぁ、二人でゆっくり話すいいチャンスかと思ったし。
私の気持ちも比較的安定していたから、行こうというか気にもなった。
不安定な時期なら、何を口走るかわからないし。
今の私だと、夫に別れてほしいと言いだしかねない気持ちの日もあるし。
でも、結局近所の居酒屋で仕事の愚痴こぼしたり、娘の話したりで、無事終了。

この前、ユウヤ君と向かい合って話したのも、初めてだったけど、
夫としっかり向かい合って、飲んだり食べたりも、随分と久しぶりだった。

キツイ仕事で、ことに夏には体重が減ってゆく夫。
今は180cmで73kgくらいだろうか?
久しぶりに向き合うと、顔は随分細くなっているし、
目尻には、彫刻刀で掘ったようなシワが刻まれている。

この人の顔をこんなふうにしげしげと見るのは、いつぶりだろう。
当たり前のことだけど、私も含めて皆、もう決して若くはない。
このシワはより一層深くなってゆくし、
肌の張りも艶も、これから先衰えていくのだけは確実にわかってる。

仕方ないことだけど。
あらがえないことだけど。
自分も、相手も、リミットがあることを痛切に思う。
ハタチの精悍な若者は、気がついたらもうどこにもいない。
毎日のハードな仕事に追われ、疲労の抜けない47歳の男。

帰り道も腕も組まなかったし、手も繋がなかった。
夫は私の気持ちが離れているのを、良くわかってる。
私ももう以前みたいに自分からは寄り添っていかない。
今、こんな気持ちなのに、それはしちゃいけないと思うし、
してもどこか嘘っぽい。
仕事に行く前のハグは、相変わらず彼からしてくれるけど、
もうそれは単なる儀式みたいなもの。

私の身体はユウヤのものだから。
だから貴方には触れてほしくない。
貴方が長い間触れてくれなかった、この身体は、
愛おしいと全身で愛してくれる人のものだから。
だから、触れられたくない。


カテゴリー: diary パーマリンク

054-嫉妬。 への6件のフィードバック

  1. ハル のコメント:

    ミオさん、愛して、体に触れてくれる人がいることは、なんと幸せなことでしょう。ヤキモチなんてもう、羨ましい限り!
    私は、自分の気持ちを夫に言えず、同じ場所で足踏みしています。お出かけの時、今までなら私からも手を繋いでいましたが、今は、変に夫を意識してしまいできません。夫から繋いでくる場合のみです。ハグもセックスもありません。手を繋ぎながら夫に恨みを抱くことすらあります。そんな自分が嫌になります。そんな私より、ずっと精神衛生上、健康ですね。
    子どもとお父さんの間でのいざこざ問題では、子どもの女性のお友達は「お父さんが悪い!」と言い、男性のお友達は「お父さんを許したれ!」と口を揃えて言うらしいです。私の夫もミオさんに、ミオさんのご主人も私に「夫を許してあげて」と言うかしら…。

    • ミオコ のコメント:

      ハルさん、なかなか更新も出来ないブログに、コメントありがとうございます。
      あ~、ちゃんと読んで頂いてるんだぁ、とそれだけで書く元気が出てきます!

      最近はユウヤ君ネタばかりで、正直つまらないのでは?
      などと考えつつ、ボソボソ綴っていましたが、
      引き続き、熟年の恋模様をリアルタイムで書いていきますね。
      あきれずに読んでいただけたら幸いです。

      ハルさんの息子さんはおいくつなんでしょうか?
      私の予想ですが、いつか息子さんが一人前になられてお家を出られたときに、
      またご夫婦の関係も変わってくるような気がします。

      事情を知らない私が言うのもなんですが、
      ハルさんのご主人を語る内容の中に、
      根っこのほうにある愛情をいつもすごく感じます。
      お互いに大きな怪我や病気をしなければ、あと30年近くは一緒に過ごす相手。
      ハルさんもお子さんの自立とともに、
      心の底にあることを少しずつ出してゆける気がします。
      僭越なことを言ってすみません。

      ときに、ご心配いただいた友人のシュンですが、
      話し合いの結果、離婚は避けられたようです。
      この夏は例年のように、家族で旅行にも行ったみたいです。
      ご報告まで!

      では、まだまだ残暑厳しき折、お身体ご自愛下さいませ。

      • ハル のコメント:

        ミオコさん、お返事ありがとうございます。ブログは更新されてるかなぁ〜といつも気になって、覗いてます。ミオコさんは、私もそうありたいと思う姿なので、(勝手に)分身のような気持ちで拝読しています。幸せがいつまでも続きますように!
        シュンさんのご夫婦が離婚せず、本当に良かったです!ホッとしました。
        私は早い時期から家を出なければならなりませんでした。家族で過ごすことへの憧れが人より強いんだと思います。
        だからこんな「セックスレスの夫婦」という現実も正直、辛いです。
        でも、きっと神様が良い方向に導いて下さると、にわか信者になる私です。

        • ミオコ のコメント:

          ハルさん、またまたお返事ありがとうございます。

          私ごときな暴走アラフィフを、分身と言っていただいて恐縮です(笑)
          でも、恋するエネルギーがまだ自分にあったのは嬉しいし、
          きつい仕事のストレスも彼と会うことで、癒されて。
          きっとヘタレな私がなんとかやっていけるように、
          神様が引き合わせてくれたんだなぁ、と最近は考えています。
          以前にも書いたけど、物事が良い方向に進むように、
          私達を俯瞰していてくれる神様は、きっといるんですよ。
          神様を信じましょ。
          友人シュンのことまで心配してくださるような、心優しいハルさんのことを、
          神様が見ていないわけないですから。

          では、まだまだ暑さも厳しいですが、お身体ご自愛下さいませ。

  2. のら のコメント:

    ミオさんこんにちは
    読ませて頂いて又コメントせずに居られなくなりました。

    ミオさんの気持ち よーくわかります。「彼がいつもの場所に居ない・・」不思議と
    気持ちが揺らぎますよね!「今〇〇に来てます」と彼女からメール、すかざず「えッ?誰と、何しに?」と返す(笑)愛し合うって、そう辛いですよね。お互いのことに一喜一憂して・・・

    私が仲間とかと飲み会何かがあると、なぜか彼女は違うことをネタに不機嫌になることが度々あるんですが、やっぱり不安や寂しさがあるんでしょうか、「寂しくさせてごめん」とメールすると「寂しくなんかありません!!ごゆっくり!!」と強気な返信・・・そんな彼女をかえって愛おしく思うのです

    基本、私は彼女と旦那の間に何があってもそれは仕方ないと思っています。それでもいざ二人のことを具体的に聞いたりするとちょっと妬けますよ、ある日耳かきの話になって、家族の耳かきは彼女がしてると言う「旦那のも?」「うん」「膝枕でだよね」「そうだよ」あっさりと言われました。
    「今度俺のもして・・」「ダメ!」「なんで!」「〇〇の耳傷つきやすいって言うから嫌だ!」なんだか無性に悔しかったです。よく思うことがあります。どんなに愛されていても身の回りの世話はしてもらえない、でも旦那はしてもらえると言うギャップにも悔しい気持ちが強いです。

    女と男の違いはあってもミオさんのような心の変化は同じですよね、メールも滞るとやっぱり仕事に集中できないし変な焦りを感じてしまう。しばらくぶりに(と言っても1~2日)メールが入ると一気に胸の支えが取れる。ほんと大の大人がって笑いますよね

    ミオさんの旦那やユウヤ君は私からすればはるかに若いですね、そんなお二人でさえ
    歳をとったなと感じるんですから、私なんてあとどの位彼女といられるか?
    彼女は行ってくれる「誰にも触られて欲しくないよ、私のものだから」・・・
    嬉しいけれど、複雑な気持ちもなきにしあらずです。

    ミオさんとユウヤ君がわれわれと同時進行でいつまでも仲良くいられるといいなといつも応援してます。

    • ミオコ のコメント:

      のらさん、なかなか更新も出来ないこんなブログを読んでいただいて、
      ホントにホントにありがとうございます。

      のらさんのコメント、
      なるほど男のヒトもこうなのか!とすごおく為になります。
      耳かきのお話はすごく微笑ましい。

      ホントに、いい歳になってるんだけど(笑)、
      多少の恋愛経験もしたし、結婚生活だってしてきたのに、
      心底惚れちゃった相手の前には、
      そんなのなんの役にも立たないんですよね。

      でも、のらさんの彼女さんは、めちゃくちゃ可愛い方ですね。
      コメントの内容でしか伺い知ることは出来ませんが、
      幾つになっても可愛くて、すごく魅力的な方なんでしょうね。
      そんな彼女さんに、いい意味で翻弄されているのらさんも、
      幾つになっても、純粋な気持ちを失わない、
      優しくて素敵な方なんでしょうね。

      いつも応援して下さって、本当にありがとうございます。
      もともとはセックスレスの経験を書き留めておきたくて、始めたブログですが、
      幸せなことに、50代の恋心を綴るものに変わりつつあります。
      もしかしたら、とてつもなく長いものになるかも知れないし、
      突然終わってしまうやもしれません。

      だけど、誰かを心底好きになる、そんな気持ちになれたことに感謝しつつ、
      これからも、頑張って書いていきますね。

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